2015 Fiscal Year Research-status Report
振動刺激による定量的な3次元形状認識を可能とする振動強度の設計手法
Project/Area Number |
26730102
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
橋本 悠希 筑波大学, システム情報系, 助教 (10601883)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 触覚 / 振動 / 定量化 / 3次元 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,3次元化が進んでいる視聴覚コンテンツに対し,同じく3次元化された触覚情報を組み合わせることで次元を揃えた質の高い体験の提供を実現することを目標とするものである. 本研究の初年度では,連続的な振動刺激における強度知覚と心理物理学の各法則との関係性解明とモデル化を進める一方,指以外の新たな部位に触覚情報を提示する手法の提案を行なった.また,タブレット型端末を用いたアプリケーションの開発環境を整えた. それを踏まえて本年度は,指意外の新たな部位として足に着目した触覚提示手法の効果の検証を行うと共に,実際にタブレット型端末を用いた基本的なアプリケーションの製作と動作の検証を行った. 足への触覚提示手法では,これまで代表者が行ってきた指爪上の振動提示による凹凸覚・質感提示を足指に対しても行い,テクスチャが足裏に知覚されることを確認すると共に,歩行バランスの安定化にも寄与する可能性が高いことが分かった.これにより,本研究を足に応用することは,躓き等による事故の防止という安全面へのサポートも期待でき,用途が広がった. アプリケーションの製作では,Unityを用いたクロスプラットフォームでのアプリケーション開発を試みた.本年度はUnityとwindowsタブレットを用いて過去に製作したアプリケーションの移植を行い,動作を確認した.また,Android端末へのインストールも問題なく可能であることを確認した.また,USB端子から給電し,ステレオミニプラグから振動情報を受信するタイプの小型振動デバイスキットを製作した.これにより,windowsタブレットと振動デバイスキットのみでアプリケーションが動作する環境が整った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である「振動刺激による定量的な3次元形状認識を可能とする振動強度の設計手法」の確立のため,「連続的な振動刺激における強度知覚と心理物理学の各法則との関係性解明とモデル化」「各法則を組み合わせた設計モデルの有効性検証と(刺激強度=高さ)というルール付けに対する影響の検証」「タッチパネルディスプレイと組み合わせた3次元視・聴・触体験システムの製作と本研究の有効性検証」という3つのステップで研究を進めてきた. 初年度としては,心理物理学の一つの法則についてほぼ検証することができ,アプリケーションの開発環境も整えられた.さらには,足という手以外の新たな部位へ触覚情報を提示できる手法を考案し,本研究の成果の応用可能性を広げることが出来た. 本年度は,足への触覚提示によって歩行バランスの安定化に寄与する可能性を示し,本研究の新たな応用先を開拓できた.また,クロスプラットフォームでのアプリケーション開発環境を整備し,端末からの有線接続のみで動作可能な振動デバイスキットも製作した.さらには,実際に過去に製作したアプリケーションを本環境に移植し,十分な動作を確認した.以上から,最終的なアウトプット環境が整い,研究目的の達成に対して概ね順調進展していると思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度では,これまでの成果を踏まえて2つのことを行う.第1に,アプリケーション環境の本格的な整備を行う.Windows以外のOSに対してもアプリケーションをインストールし,クロスプラットフォームでの動作を検証すると共に,振動デバイスを無線化し,体験しやすい環境を整える.また,振動デバイスキットの制御用ライブラリを製作し,誰でも使えるように公開することを目指す. 第2に,モデルの検証を行う.これまでに設計した振動強度モデルをアプリケーションに搭載し,実際の効果を検証する.十分な効果が出なかった場合は,触覚知覚特性に関する知見に基づいた補正項を入れ,改善状況を確認すると共に,本手法で表現可能な立体形状の限界についても議論する. 第3に,指への触覚提示に関する凹凸覚・質感の提示モデルを足へ適用可能かを検証する.足への振動提示で本モデルが有効であれば,リアリティの高い地面感覚の知覚が可能だと考えられる.
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