2015 Fiscal Year Research-status Report
タイ・コンケン市における生物多様性ポテンシャルマップの作成と活用施策の提案
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26740031
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
伊東 英幸 日本大学, 理工学部, 准教授 (70434115)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生物多様性ポテンシャルマップ / GIS / 土地利用 / 緑被率 / タイ / 適性指数モデル / HEP |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、コンケン大学のDr.Thanedの協力の下、タイ・コンケン市の土地利用に関する現地調査を実施し、2011年および2015年の土地利用に関するデータベースをGISで構築した。 また、コンケン大学の生物学者であるDr.Adcharapornの協力の下,森林に生息している絶滅危惧種9種の中で,特に保全の重要度が高く、森林に生息しているButterfly lizardを評価対象生物として選定し、各種文献データを基に、生息必須環境条件として、「森林の気温」、「照度」、「森林密度」、「地表温度」の4項目を抽出し、適性指数モデルを構築した。次に、市内に存在する50ha以上の森林12箇所を対象として、10mメッシュのコドラートを設定し、これらの生息必須条件に関する現地調査を実施した。現地調査で得られたデータを構築した適性指数モデルに適用して適性指数値を求め、これらを算術平均することで、総合的な質を表すハビタット適性指数値を算出し、GISを用いて生物多様性ポテンシャルマップを作成した。これにより、絶滅危惧種を指標種とした場合の潜在的な生息地の質や面積を推計し、道路整備や都市化に伴う絶滅危惧種の生息地への影響を定量的に分析した。 その結果、2011年と2015年を比較すると緑被率は11%、森林面積は41%も減少していることが明らかとなった。また、ハビタット適性指数値と森林面積を乗じて算出したトータルハビタットユニットで比較した場合、2015年は2011年と比較して約40%も減少していることが示された。これにより、Butterfly lizardの潜在的な生息環境が都市化に伴って顕著に減少しており、保全対策が必要であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで、現在の土地利用に関するGISのデータベースの構築に加え、森林に生息し、保全の重要度の高い絶滅危惧種であるButterfly lizardを指標種とした生物多様性ポテンシャルマップの作成を既に実施しており、おおむね順調に研究は進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、複数の絶滅危惧種を指標種とした生物多様性ポテンシャルマップの作成に向けて、森林等に生息するその他の指標種を選定し、適性指数モデルの構築と、その評価対象生物種の生息必須条件に関する現地調査を実施する必要がある。 現在、コンケン大学の生物学者であるDr.Adcharapornと協議し、その他の指標種の選定に向けた打ち合わせを実施しており、上記について検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
ほぼ当初の予定通り、予算を使用しており、端数として2,032円の残額となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2,032円と少額であることから、次年度の使用計画に大きな修正や変更はない予定である。
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