2016 Fiscal Year Research-status Report
国際環境認証制度(水産物)による資源管理ガバナンスの変容に関する研究
Project/Area Number |
26740060
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
大元 鈴子 宮崎大学, 産学・地域連携センター, 講師 (70715036)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 水産物認証 / ASC認証 / MSC認証 / ブリ類 / ボトムアップ型制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、海外調査2回、国内複数回において、水産認証制度研究目標の一つにあげた「従来の国際制度フレームを利用して起こるボトムアップ型制度設計の可能性の提言」のために、国際制度以外のボトムアップ型制度・認証についての幅広い調査をおこなった。一つには、米国のCSF(Community Supported Fisheries)であり、もう一つには世界的運動となってきつつあるSlow Fishである。 国内においては、ASCのブリ類の認証基準が策定され、各社の認証取得への動きが高まっており、これについての生産者会議に参加し、生産者としてのチャレンジ等についての聞き取りをおこなっている。もう一魚種についての基準策定の動きも始まっており、これについては、会議のコーディネーターとして参加している。また、MSCの国内の事例については、気仙沼のサメ漁業を訪問し、現在までの認証取得への過程の聞き取りに基づき、英文論文一本を投稿中である。 そのほか、国際的な漁業の持続可能性について活動する団体等とのつながりを多く構築することができ、次年度の調査に向けて、十分な体制を整えることができている。 成果物としては、国内におけるMSC認証ならびにASC認証についての調査結果については、学術雑誌2本に掲載されたほか、一本を英文学術雑誌に投稿した。また、国際学会においても発表した。また、28年度の調査の一部については、29年度中ごろに出版予定の書籍にも含めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたマレーシアでのハタ類のASC認証にかかるアクアカルチャー・ダイアログはキャンセルとなったが、代わりに28年度には、国内の養殖業者も深くかかわる魚種についての動きが活発化し、結果的には、国際水産物認証の制度設計が生産者にどのように影響し、また、生産者がどのようにして対応していくかを国内事例において観察することができ、想定以上の知見が得られた。 また、ベトナムについての調査では、新たな有機エビについての動き始まっており、メール等のやり取りで状況は把握できている。今年度中に現地を訪れることで国際的な有機エビをめぐる組織化の動きを報告できる予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
基金延長により最終年度となる29年度には、年度前半にアメリカでの調査を予定している。これまでの調査・分析により、国際資源管理認証とそのほかの地域版認証制度の重層性の重要性が指摘できるが、実務レベルで漁業にかかわる人々が集まる国際会議への参加を予定している。また、後半にはASC基準について、国内において新たな基準策定の具体的な動きが始まるため、これへの参加を通じて、ダイアログ形式の次の形へのシフトを研究対象とする。 また、ベトナムでの調査については、有機エビにおける国際的な持続可能性への組織化が始まっており、これについて調査・報告する予定である。 最終成果物としては、英文論文への投稿ならびに、現在執筆中の書籍に含める予定である。
|
Causes of Carryover |
本研究の目的の一つとして、ベトナムにおける水産物認証の生産者への影響を挙げているが、昨年12月より、養殖エビに対する複数の認証制度による社会的影響を考慮した新しい会社の設立が進んでおり、これについての調査が、国際認証による新たな組織化を知るうえで大変重要と考えたために次年度に使用額を持ち越した。 また、国際認証との比較として重要なローカルでの制度については、6月に米国で行われるスローフィッシュの会議への参加資格を得ており、こちらについても参加し、調査するため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
ベトナム南部調査10日間ならびに米国デンバー調査1週間。 国内複数回出張ならびに英文論文校正費としての使用を計画している。
|
Research Products
(3 results)