2015 Fiscal Year Research-status Report
地方分権下におけるスポーツ政策をめぐる中央地方関係の動態
Project/Area Number |
26750287
|
Research Institution | Nagoya Gakuin University |
Principal Investigator |
沖村 多賀典 名古屋学院大学, スポーツ健康科学部, 助教 (30632666)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | スポーツ政策 / 中央地方関係 / スポーツ施設 / 総合型地域スポーツクラブ / 一貫指導システム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本のスポーツ政策を構成する個別施策に関する制度とその下での自治体の活動を、個々の自治体の具体的な事例に沿って検討し、地方分権下におけるスポーツ政策をめぐる中央地方関係の動態を明らかにすることを研究の目的としている。 平成27年度においては、第1に、課題の1つである「スポーツ施設の整備をめぐる国レベルでの分立構造とその都道府県への影響」について、日本体育学会第66回大会において口頭発表を行った。具体的には、①スポーツ施設の整備は、文部科学省による体育・スポーツ施設整備策と国土交通省による都市公園整備策とで分立していること、②分立体制は自治体にも貫徹していること、③都市公園整備策の中で設置されるスポーツ施設が、スポーツを行う場として重要な位置を占めていること、④自治体によっては、分立を解消する取り組みもみられること等を示した。また、この発表に基づき、雑誌『体育科教育』の2015年12月号に小論を寄稿した。スポーツ政策論で見逃されがちであった都市公園整備策の重要性と分立の強固さを指摘できた点は、2015年10月にスポーツ庁が設置され、総合的なスポーツ施設整備のあり方が問われている現在にあって非常に重要である。 第2に、課題の1つである「スポーツクラブの育成をめぐる国の政策とその都道府県への波及」について、インタビュー調査と資料収集を行い、この結果を部分的に用いた論文を名古屋学院大学論集に投稿した。具体的には、国のスポーツ振興基本計画が示した総合型地域スポーツクラブ育成施策について、9割を超える都道府県が同様の施策を計画に盛り込んでおり、全国的に波及したことを示した。 第3に、課題の1つである「一貫指導システムの構築をめぐる国と都道府県の分離-融合関係」について、インタビュー調査と資料収集を行った。この成果をまとめた論文を現在執筆中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
スポーツ政策の都道府県間比較において、当初予定していた事例だけでは補いきれない多様な政策が見出され、更なる事例調査が必要となったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
4つの課題について一通り調査・研究を行うことができたが、地方分権下における都道府県政策の多様性についての検討とその意義についての考察が不足している。この不足を補うために、追加の事例調査を行う。 併せて、それぞれの結果を総括し、日本のスポーツ政策をめぐる中央地方関係の特質及び課題を総合的に議論する。この点については、日本体育学会第67回大会において口頭発表を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
現地調査及び研究打合せを他の行事と一括して行ったこと等により、当初の予定より旅費が抑えられたため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
補助事業期間延長承認を受け、次年度は追加の事例調査を行う予定であるため、経費の多くはこの調査の旅費に充てる計画である。
|
Research Products
(4 results)