2014 Fiscal Year Research-status Report
発揮筋力を調整した一過性有酸素性運動の作業筋負荷が遺伝子発現を高める可能性の検討
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26750317
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
平野 雅巳 福岡大学, スポーツ科学部, 助教 (30580229)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 有酸素性運動 / 全身負荷 / 末梢負荷 / 筋酸素動態 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、乳酸閾値強度による一過性運動時の発揮筋力と遺伝子発現量の関係を検討することを目的とした。平成26年度は、有酸素性運動時における異なるペダル回転数に伴う発揮筋力の違いが全身性負荷と末梢負荷へ及ぼす影響を検討した。健康な若年成人男性11名を対象に有酸素性作業能力の評価及び低強度から中等強度において、異なるペダル回転数の自転車運動時の酸素摂取量と筋酸素動態を測定した。その結果、低強度から中等強度の35、50、75rpmのペダル回転数において、酸素摂取量を指標とした呼吸代謝応答に統計的な差を認めなかった。また、筋酸素動態として測定した酸素化ヘモグロビン/ミオグロビン(Hb/Mb)、脱酸素化Hb/Mb及び総Hb/Mbも同様にペダル回転数間に差を認めなかった。乳酸閾値強度を基準として体力水準別に分けて解析すると、高い体力水準(n=5)では、75rpmより35rpmの酸素化Hb/Mbが低い傾向を示した。一方、低い体力水準(n=6)では、ペダル回転数間に統計的な差を認めなかった。少数のデータであるが、同一仕事率における発揮筋力の違いの影響は、絶対的運動強度または体力水準が関係している可能性が考えられた。 また、遺伝子発現の検討は、健康な若年成人男性7名を対象に、異なるペダル回転数に伴う高発揮筋力条件、低発揮筋力条件および非運動条件をランダム化クロスオーバー試験にて実施した。乳酸閾値強度相当の同一仕事率における各筋力発揮条件において、1時間の自転車運動を行い、運動1時間後に筋生検を実施し、筋サンプルを凍結保存した。筋サンプルは、平成27年度にPGC1-α遺伝子の発現を分析する計画である。また、運動前後及び運動中に上腕動脈から採血を行い、2つの運動群の運動前・中・後の血液分析を行った。申請時に各条件に対して4試行を計画していたが、詳細な経時的変化を分析するために6試行に変更した。現在、解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
異なる発揮筋力の一過性運動後の筋生検は、ランダム化クロスオーバー試験にて計画通りに完了している。凍結保存された筋サンプルを用いて、PGC-1αとβアクチンの遺伝子発現分析の準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、これまでに得られた筋サンプルからcDNAを合成し、RT-PCR法を用いてPGC1αとβアクチンの発現量を定量する計画である。また、平成26年度に血液分析の試行の変更に伴い、分析できなかった血中コルチゾール濃度を分析する予定である。 平成26年度にペダル回転数が末梢循環に影響する程度に絶対的運動強度または体力水準が影響する可能性が考えられたため、引き続き解析を進める予定である。
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Research Products
(2 results)