2017 Fiscal Year Research-status Report
ヴィクトリア時代後期の英文学における中世主義の研究――ウィリアム・モリスを中心に
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26770100
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
清川 祥恵 神戸大学, 国際文化学研究科, 協力研究員 (50709871)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ウィリアム・モリス / 中世主義 / 北欧趣味 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は成果発表に力を入れる予定であったが、年度中に発生した別の研究プロジェクトへの参加もあり、予定に遅れが発生したため、実績はやや限定的な、以下2点に留まる。 まず、中世主義思想にかんし、中世文学、とりわけアーサー王伝説の影響が顕著に見られるために進めていた、神話・伝承文学の復興の意義についての考察は、共編著『「神話」を近現代に問う』(勉誠出版)の第三章収録論文「英雄からスーパーヒーローへ――十九世紀以降の英米における「神話」利用」の一部として3月末日に書籍として発行することが出来た。 また、夏季には国際セミナーJapan-Asia-Europe Comparative Symposium on Migration, Multiculturalization and Welfare in Naples 2017の若手シンポジウムのパネリストとして、ウィリアム・モリスの中世主義の今日性に関し、“Whose Lady is she? Representations of Guinevere and Other Arthurian Characters in Recent Films”と題した発表をおこなった。題材としては、やや間接的な視点となるが、モリスらの表象を起点として2010年代までのアーサー王表象を、写本から映画までのメディアの変遷の経過と併せて取り扱ったものである。広義の「文学」におけるモリスを軸に19世紀の中世主義思想の意義を評価するにさいし、21世紀的な社会状況と関連づけて論じたことで、学際的な議論としての有効性を確認することができたと考える。 以上、一定の成果は得られたが、ひきつづき論文作成に注力する必要がある。前年度から未だまとめられていない成果とともに、補助事業延長期間中に執筆する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
申請者が他の共同研究プロジェクトにも参加しており、科研の研究と並行する形で作業を進めているが、そちらの出張のタイミングの問題で科研のほうの出張をずらさざるを得ず、成果報告にいたるまでもう少し時間を要するため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度あまり展開できなかった成果発表の活動に力を入れる。とりわけ北欧趣味の影響については国際学会(International Association for Comparative Mythology)での発表を6月に予定しており、論文投稿も併せておこなう予定である。
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Causes of Carryover |
申請者が他の共同研究プロジェクトにも参加しており、科研の研究と並行する形で作業を進めているが、そちらの出張のタイミングの問題などで執行計画がずれたため、次年度使用額10万円弱が発生した。この次年度使用額は、成果発表のための国内出張費用(日本ヴィクトリア朝文化研究学会)、学会誌の論文投稿(William Morris Society)の英文校正費用等として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)