2015 Fiscal Year Research-status Report
社会的地域性から見た話術の地域差とその形成に関する研究
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26770162
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
澤村 美幸 和歌山大学, 教育学部, 准教授 (80614859)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 方言学 / 日本語学 / 日本語史 / 地域差 / 方言形成 / 話術 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は各地にどのような話術が存在し、いかに運用されているのかという実態を把握するための全国臨地調査を行う予定であったが、昨年度の研究の成果から、全国調査の実施を行うに当たっては、さらなる先行研究の整理やさまざまな文献調査やそれらの調査結果の分析分析を充実させることによって、話術の地域差の形成の理論的基盤を構築していくことが急務であると判断し、大規模な通信調査よりも主に文献を中心とした話術の地域差に関する理論の構築が主な実践課題となった。 しかし、その一方で、日本でも非常に独特のパターンを持つと考えられるため、話術の地域差を把握する上でも特に重要な地域である関西において、関西地方出身の話者複数名に対する話術の運用の実態とその意識に関する聞き取り調査を、昨年度に引き続き実施し、多くのデータを得ている。その分析結果については、現在も整理中ではあるものの、話術の実際の運用や意識に関する関西のパターンを類型化し、他地域との比較・分析に応用できる見込みである。 さらに、狂言台本や噺本等の日本語史資料の調査からは、特に現在の関西地方における独自の話術の歴史的成立過程を大まかにではあるが捉えることができており、今後はそれが地域差にどのように反映されているのかや、また、隣接分野の研究成果との対照による、日本における社会構造の地域差やその変化が地域差形成にどう関連しているかという課題にも取り組んでいく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画である大規模調査の実施から、話術の地域差の理論的枠組みの構築へと研究の目的を大きくシフトしたため、当初の計画からは遅れているかのようにも見えるが、昨年度に引き続き課題を整理して、先行研究の整理や聞き取り調査などから徐々に本研究の目指すべきゴールが明確化できてきたことから、研究自体はおおむね順調に進展していると言ってよい。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで実施できていなかった関西以外の地域での臨地面接調査を可及的速やかにすすめていく予定である。また、平成28年度が最終年度となるため、これまで文献調査や聞き取り調査で得たデータの整理、データベース化を引き続き行い、その分析結果から話術の地域差形成に関する理論的基盤を構築していく。
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Causes of Carryover |
購入予定の書籍の在庫がなく、本年度中に購入できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
購入予定であった書籍を次年度あらためて購入するために使用する予定である。
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Research Products
(1 results)