2016 Fiscal Year Annual Research Report
Study of administrative system of official documents of the Old Tibetan Empire based on Central Asian documents
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26770244
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩尾 一史 京都大学, 白眉センター, 特定准教授 (90566655)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 吐蕃 / 古代チベット史 / 文書行政 / 古チベット語 / 敦煌文書 / 中央アジア出土文書 / 東部ユーラシア |
Outline of Annual Research Achievements |
・本年度は実物文書の調査を1回行った:2016年12月にドイツのStaatsbibliothek zu Berlin所蔵チベット語文書の現物調査を行うことができた。その結果、当初予定していた紙文書のデータ収集に関しては、一部を除きおおよそ収集し終わった。次の課題として金石資料を対象にデータを収集することを始めている。今後は、紙文書データと併せて総合的に比較検討し、古代チベット時代の文書行政システムについて成果をまとめる予定である。 ・調査とデータ収集の他は今までに得られた知見をまとめ、発表・出版することに力を注いだ。その結果として、合計2編の論文の出版と合計5度の学会発表・講演を行うことができた。なお特記すべき成果としては次のものがある。 ・チベット語の使用のみならずチベット公文書の形式がチベット支配期以降にも残り、漢人政権の帰義軍内にても使用されていたことはいくつかの先行研究にて指摘されているところである。そのような公文書の一つIOL Tib J 134(大英図書館所蔵)はすでに存在がよく知られていたが、惜しむらくは断片で冒頭の数行しか残存していなかった。しかし本研究によって続きの断片(Pelliot tibetain 1076)がフランス国立図書館にあることが判明した。両断片の比較検討の結果、一定程度この文書の内容を復元することができた。その書式と内容を検討した結果、本文書は帰義軍時代初期に出された裁判の判決文書であることがわかり、その成果を「ドルポ考-チベット帝国支配下の非チベット集団」『内陸アジア言語の研究』31の一部として出版することができた。
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Research Products
(7 results)