2015 Fiscal Year Research-status Report
国際安全保障法秩序の検討:集団安全保障体制の現代的意義
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26780025
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
山本 慎一 香川大学, 法学部, 准教授 (50583275)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 集団安全保障 / 安全保障理事会 / 国連平和維持活動 / PKO / 多国籍軍 / 憲章第7章 / 国際平和協力 / 平和・安全法制 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度から引き続いて、近年の安保理における制裁の実行とその正統性の所在についての検討を進めた。とりわけ対ISをめぐるシリア情勢や、核問題に付随する対北朝鮮制裁に関連した実行例の調査と整理をおこなうことにより、安保理の授権行為の持つ意義にかかわる検討の下準備を進めた。 さらに、集団安全保障体制にも密接にかかわる日本の平和・安全法制の議論の進展もフォローし、国連平和維持活動(PKO)の現代的な展開に対して、日本の国際平和協力法制のあり方に関し、本年度可決成立した平和・安全法制の枠組みに焦点を当てて考察を深めた。 いずれも論文として公刊するまでには至っていないが、事例の収集と議論の整理、および関連文献の調査は、集団安全保障体制の現代的意義を考察し、国際安全保障法秩序を検討しようとする本研究課題の今後の進展にとって、大変意義深い試みであった。 本研究課題にかかわる本年度の実績としては、前年度公刊した論文をベースに国際法研究会(京都大学)において「国連憲章第7章の法的性格―安保理決議の検討を通して」のテーマで口頭発表をおこなったほか、日本国際政治学会2015年度研究大会(仙台国際センター)にて、部会15「集団安全保障の展開と現状」のセッションの司会を務め、集団安全保障にかかわる最先端の議論の整理を試みた。 今後は、本年度実施した調査や収集した文献をもとに分析を進めて、学会や研究会で得られた知見と合わせて、最終目標として書籍の刊行を視野に入れつつ、論文として公刊を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
近年急速な事態の変容が見られるシリア情勢や対ISの取り組み、また北朝鮮の核実験に伴う制裁措置のほか、日本国内における平和・安全法制の成立による国際平和協力の枠組みの変容を受けて、情報収集と事実関係の整理に時間が割かれたため、多国籍軍型軍事活動の展開事例のアップデートと国際法規範に与えた影響、さらに安保理の行為の正統性にかかわる議論を整理して論文として公刊する計画に遅延が見られる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度まで実施した各種事例の調査・分析、そして文献収集をもとに、本研究課題の最終目標である書籍の刊行を視野に入れながら論文の執筆を進めていく。
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Causes of Carryover |
図書購入について、本年度は和書を中心に買い揃えたため、経費を節減することができたほか、大学内における予算システムが、第2期中期計画の最終年度ということで入力期日が早まったことも、使用計画に影響が出た。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度に購入を見送った洋書の購入やデータベースの利用、あるいは出張経費に充てて、研究の進展のために有効に活用したい。
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Research Products
(1 results)