2016 Fiscal Year Research-status Report
制度設計理論の手法を用いた特許審査新方式の設計・分析・応用
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26780117
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Research Institution | Osaka University of Economics |
Principal Investigator |
橋本 和彦 大阪経済大学, 経済学部, 講師 (30649182)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 耐戦略性 / 公平性 / 効率性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、制度設計(メカニズム・デザイン)理論の手法を用いて、耐戦略的で公平な新しいメカニズムの設計、及び効率性に関する分析を行うことを目的としている。 本年度は、公共的意思決定の状況における耐戦略的で公平なメカニズムの研究を行った。このような状況でよく用いられるメカニズムとして、多数決メカニズムとピボタルメカニズムがある。多数決メカニズムは、個人間の貨幣移転を必要とせず、非常にシンプルではあるが、個々人の賛成の度合いを反映できない決定効率性に関する欠点がある。一方、ピボタルメカニズムは、それらの度合いを完全に反映し決定効率的であるが、個人間での所得移転がバランスせず、貨幣移転に関する効率性に欠点がある。 ただし、耐戦略性を満たし決定・貨幣移転の両方の意味で効率的なメカニズムは存在しないことが知られている(ホルムストロームの定理)。ゆえに、耐戦略性を満たすメカニズムの中で、次善なものを設計・分析することが次なる課題となる。 では、多数決メカニズムやピボタルメカニズムよりも効率的なメカニズムはどんなものであろうか?本研究では、確率的議長付ピボタルメカニズムをその候補として分析した。まず、確率的議長付ピボタルメカニズムが耐戦略性を満たすメカニズムの中で次善であることを示した。次に、確率的議長付ピボタルメカニズムの拡大経済での振る舞いを分析した。それによると、確率的議長付ピボタルメカニズムは経済が大きくなればなるほど、効率的になっていくことが分かった。これは、多数決メカニズムやピボタルメカニズムにはない性質であり、非常によい性質であると言える。 これらの結果を、論文「Strategy-Proof Probabilistic Mechanisms for Public Decision with Money」にまとめ、現在査読付き国際雑誌へ投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
耐戦略的で公平なメカニズムの分析を行い、特に拡大経済でのメカニズムの効率性に関する振る舞いに対する結果を得ることができた点がよかった。また排除可能な公共財供給メカニズムの研究も行い、計画した以上の成果を上がることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、新しいメカニズムの設計・分析・評価を中心に研究していく予定である。
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Causes of Carryover |
投稿論文の英文校正費用が当初見込みより少なくすんだため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在執筆中・投稿準備中の論文の英文校正費用として用いる。
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