2014 Fiscal Year Research-status Report
金融政策が経済成長に与える影響に関する定性・定量分析
Project/Area Number |
26780126
|
Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
古川 雄一 中京大学, 経済学部, 准教授 (50510848)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 国際研究者交流(イギリス、スイス) / 国際情報交換(カナダ、イギリス、スイス) / 金融政策 / 失業 / インフレーション / 経済成長 / 研究開発 / イノベーション |
Outline of Annual Research Achievements |
金融政策が経済成長に与える影響について、定性・定量の両面から分析を進めた。特に、金融政策によってインフレーションが引き起こされた時、失業率や経済成長率がどのように変化しうるのかについて、詳細な分析を試みた。本研究の重要性は、定性的には、金融政策や失業と経済成長の関係という伝統的な研究テーマに対して、新しい視点(研究開発投資の cash-in-advance 制約)から理論モデルを開発したことにある。また、適切な手法でモデル・カリブレーションを行い定量分析を行った点も新しく、重要な貢献であると考える。詳細は次の通り。
(定性)金融政策やインフレーションが長期的な失業率と経済成長率に与える影響を分析するために、いわゆる cash-in-advance (CIA) 制約と労働市場のマッチングを考慮した理論モデルを開発した。開発された理論モデルを利用して、インフレーションと失業の長期的関係が cash-in-advance 制約の性質に大きく依存する可能性が示された。消費の CIA 制約の下では、金融政策によるインフレーションは失業を減らし、研究開発投資の際の CIA 制約の下では、インフレーションは失業を増加させる。 (定量)このモデルをアメリカとEUのデータをつかってカリブレートして、インフレーションと失業の関係に関する定量的な結果を示した。 なお、本研究は Angus Chu 教授(リバプール大学、イギリス)と Guido Cozzi 教授(ザンクトガレン大学、スイス)との共同研究で、ディスカッション・ペーパー(MPRA Paper 61175)としてまとめられている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論モデルの構築からモデル・カリブレーション、定量分析を一通り完遂しており、所期の研究目的を鑑み、おおむね順調に推移していると考える。また一連の分析結果がディスカッション・ペーパーとして公開されている点も評価に値する。
|
Strategy for Future Research Activity |
所期の研究目的は一通り達成されているので、残された課題は研究成果を国際的に定評ある査読付き英文雑誌に公刊することである。これを遂行するために、共同研究者たちと国際交流を行いつつ、学会報告やセミナー報告を通じて、内外の研究者たちと情報交換を行う必要がある。また、所期の研究計画をさらに発展させ、新たな研究の方向性を見出すことも有益であると考えている。そのためには、内外の研究者たちとの情報交換を十分に行う必要があると考える。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額(27,124円)が発生した理由として、当初予定していた国内出張(共同研究打ち合わせ)のキャンセルがあげられる。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の国内出張(共同研究打ち合わせ)に使用する計画である。
|
Research Products
(8 results)