2016 Fiscal Year Annual Research Report
New approach for the endogeneity problem in Hedonic second analysis: an application to welfare analysis of the nuclear power plant accisent
Project/Area Number |
26780145
|
Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
山根 史博 広島市立大学, 国際学部, 准教授 (40570635)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 原発災害 / 住民経済厚生 / ヘドニック二次分析 / 内生性問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
福島第一原発から半径80km圏内を対象に、平成15年・20年・25年の『住宅・土地統計調査』の家賃データを活用して最終的なヘドニック家賃関数の推定を行い、事故後の空間線量率と家賃変動との関係を検証した。しかし、様々な説明変数の組合せや関数形(両対数関数、準対数関数、Box-Cox関数など)で推定するなどして試行錯誤したが、線量と家賃変動との関係有意な結果は得られなかった。例えば、線量が高い場所の物件は家賃が低下している等の関係は確認されなかったということである。住宅の賃貸は短期的な取引という側面が強く、仮に借家人がそこに長期間住むことによる健康影響や風評被害を懸念するのであれば、比較的容易に他の物件に移転することが可能であるため、住宅や土地を長期資産として売買する場合に比べて、放射能汚染による影響が反映されにくい可能背が考えられる。 この他、事故後に標高の高い物件の家賃が上昇していることを示す有意な結果が示された。東日本大震災の経験に基づき、津波の被害を受けにくい高台の賃貸物件に対する需要が高まっていることが強く反映された結果と言える。
なお、当初の目的であるヘドニック二次分析と線量上昇による住民経済厚生変化の試算へと展開するためには、まず、空間線量率と家賃変動との間の有意な関係(シャドー・マージナル・プライス)が確認されなければならないが、家賃関数の推定結果が示す通り、それを示唆する結果は得られなかった。したがって、本研究では当初の想定通りに二次分析への展開ができない状況にはなったが、先述の通り、これは住宅の賃貸という短期的な取引を分析対象にしたためと思われるため、今後は、長期資産としての住宅・土地の売買を対象にすることを検討し、目的の達成を図っていくことにしたい。
|