2014 Fiscal Year Research-status Report
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26780158
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
杉野 誠 山形大学, 人文学部, 准教授 (60535780)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 環境規制 / イノベーション / 研究開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
Arimura et al.(2012)のデータを拡張を行い、イノベーションと汚染物質の関係を再検討を行った。具体的には、データ期間を1975年から2005年へ拡張を行い、要因分析法(Factor Decomposition Analysis, FDA)によって分析を行った。これにより、オイルショックによる技術進歩を捉えることが可能となり、イノベーションの効果をより詳細に分析することが可能となった。このデータは、産業分類が細かい反面、非連続的なデータとなっているため、経年変化を適切に捉えられていない可能性がある。この問題を克服するために、連続的なデータを用いたの検討・分析を行った(日本産業生産性(JIP)データベース2012)。データの期間は、1970年から2009年となり、オイルショック以前の状況も分析期間に加えることが可能となった。両分析は、共に長所と短所を含むため、補完的な分析となっている。 上記の分析と同時に、理論モデルのベースモデルを構築した。ベースモデルは、動学的なモデルであり、環境規制とイノベーション(研究開発投資)をリンクしたものとなっている。環境規制の種類として、トップランナー規制と米国のCAFE規制の2通りを検討した。また、シミュレーション分析のために理論モデル(ベースモデル)を記述したプログラムを構築した。さらに、データを用いたプレテストを実施し、プログラムおよび理論モデルの検証を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
実証分析は、予定通り進展しており、研究成果を学会などで報告することができた。現在、学会などで受けたコメントを修正しながら、投稿論文を仕上げている。また、2年目に計画していた計量分析の準備も完了しているため、順調に進展していると考える。 理論モデルの構築は、予定していた範囲(動学的なモデル、イノベーションと環境規制)に達している。しかし、今後の拡張には時間を要すると思われる。 一方、初年度に計画していなかったシミュレーション分析用のモデルは、ベースモデルが完成している状況である。さらに、実際のデータを用いたプレテストを実施し、モデルが正しく動いているかの確認まで行った。
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Strategy for Future Research Activity |
計量モデルを用いて産業レベルのデータを分析する必要がある。この点は、学会報告の際にコメントを受けていたため、今後の研究に重要なポイントになると考えている。また、汚染物質の種類を増やす必要がある。現在の分析では、二酸化炭素に焦点を当ててきたが、今後は、二酸化窒素やPMなど幅広い汚染物質に着目する必要がある。汚染物質の種類を増やすために、入手可能なデータを検討する必要があり、南斉・森口(2010)などを参考に必要なデータを収集する。 理論モデルの拡張を行う際に、ユニークな解が求まるよう、注意が必要である。初年度のモデルは、複数の解が求まり、解釈が難しいモデルとなった。この点を改善し、環境規制とイノベーションの関係を明確化するモデルの構築が必要となった。
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