2014 Fiscal Year Research-status Report
社会的感受性が集団意思決定で果たす役割と支援的介入可能性の検討
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26780348
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
土屋 耕治 南山大学, 人文学部, 講師 (10611585)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 社会的感受性 / 集団的知能 / 集団意思決定 / 自閉症スペクトラム障害 / 志向性の共有 |
Outline of Annual Research Achievements |
「個人の知能の総和以上のものが,グループの相互作用によって発生するのか」という問いは人々の関心を惹きつけ,集団での意思決定に関してこれまで多くの研究が行われてきた。本研究は,メンバーの社会的感受性が,グループの問題解決の力である「集団的知能 (collective intelligence)」に影響を与えるプロセスを検討し,集団意思決定への支援的介入可能性を探ることを目的としている。具体的には,社会的感受性の低いメンバーが共同注意,We-mode の形成,表情の同調に特異性を見せることで,「志向性の共有」が遅くなり,パフォーマンスを抑制するという仮説を検討している。 4年間のプロジェクトにおける初年度である2014年度では,集団意思決定場面において社会的感受性の低いメンバーがどのように振るまい,集団のダイナミックスに影響を与えているのかという点について検討をするために,2つの実験を開始した。 第一の実験は,パーソナルスペースの予測と調整と社会的感受性の関係に関する検討である。私たちは,対面コミュニケーションにより,相手との協力関係の基盤を作っていくと考えられ,相手との身体的・心的距離を調整すること (予測と調整) が必要になる。こうした相手との身体的・心的距離の調整に,社会的感受性がどのように寄与しているのかという検討を加え,社会的感受性の低いメンバーの対面状況での関係構築の特徴を探っている。 第二の実験は,小集団が協力して作業を行う場面において,社会的感受性の低いメンバーがどのように振るまうのかという点に関する検討である。協働して,ブロックを積み上げるという場面を設定し,その場面における社会的感受性の低いメンバーの振るまい,他のメンバーとのやりとりを検討することで,社会的感受性の低いメンバーが集団のダイナミックスで果たす特徴について探っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2014年度は,集団意思決定に関する実験を行い,社会的感受性の低いメンバーの集団意思決定時の特徴について探ることを目的としていた。 上記の通り,2014度は,2つの実験を開始することができたことから,概ね順調に進んでいると言えよう。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度は,上記の集団意思決定の実験を引き続き行い,さらにデータを収集し,詳細な分析を行うことを目指している。具体的には,まだコーディングが途中である行動指標にも注目して指標化し,分析を行うことにより,集団のダイナミックスにおける社会的感受性の果たす役割について検討を加える予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度に2つの実験を開始することができたが,データ収集を年度をまたいで行っていることに伴い,実験協力の方への謝礼の支出が予定より少なかったこと,また,データのコーディングは次年度に行う予定にしたことから,当該年度の申請分より下回ることとなった。 その分,次年度には,実験協力に関する謝礼,データのコーディングなど研究補助に経費が必要となる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験協力に関する謝礼,データのコーディングなどの研究補助に使用予定である。
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