2015 Fiscal Year Research-status Report
社会的感受性が集団意思決定で果たす役割と支援的介入可能性の検討
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26780348
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
土屋 耕治 南山大学, 人文学部, 講師 (10611585)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 社会的感受性 / 集団的知能 / 集団意思決定 / 自閉症スペクトラム障害 / 志向性の共有 |
Outline of Annual Research Achievements |
「個人の知能の総和以上のものが,グループの相互作用によって発生するのか」という問いは人々の関心を惹きつけ,集団での意思決定に関してこれまで多くの研究が行われてきた。本研究は,メンバーの社会的感受性が,グループの問題解決の力である「集団的知能 (collective intelligence)」に影響を与えるプロセスを検討し,集団意思決定への支援的介入可能性を探ることを目的としている。具体的には,社会的感受性の低いメンバーが共同注意,We-modeの形成,表情の同調に特異性を見せることで,「志向性の共有」が遅くなり,パフォーマンスを抑制するという仮説を検討している。 4年間のプロジェクトの2年目である2015年度では,社会的感受性の低いメンバーがどのように振るまい,集団のダイナミックスに影響を与えているのかという点について検討をした実験結果を発表した。 具体的には,日本グループ・ダイナミックス学会で「社会的感受性と身体活動を伴う小集団の課題パフォーマンス-ブロック積み上げ課題を用いた検討-」と題した発表を行った。これまでの言葉でのやりとりを用いた研究とは異なり,身体活動を伴うパフォーマンスを従属変数に検討を行ったところ,社会的感受性とパフォーマンスに負の関係が認められた。これは,本研究が依拠している先行研究の結果とは逆の方向であった。このことから,社会的感受性とパフォーマンスとの関係には,課題における言語の優位性が関係しているという仮説を提示して考察とした。なお,この発表は,日本グループ・ダイナミックス学会2015年度第62回大会優秀学会発表賞 (ポスター発表部門) を受賞した。 このほか,パーソナルスペースの予測と調整に,社会的感受性がどのような段階において関係するかという点を検討した報告を行った。また,外部からの介入可能性の影響について事例報告を論文にまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2015年度は,2014年度に実施した2つの実験を発表する機会を持てたこと,また,介入可能性を探った論文を執筆できたことから,概ね順調に進んでいると言えよう。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度は,学会で発表を行った内容について論文にまとめること,また,新たな実験を開始することを目標とする。前者においては,さらなるデータの収集が必要と考えられることから,計画的に進めていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
当該年度は,発表に重きを置いたため,実験実施に伴う実験協力の方への謝礼の支出がなかったこと,また,データのコーディングは次年度に行う予定にしたことから,当該年度の申請分より下回ることとなった。 その分,次年度には,実験協力に関する謝礼,実験実施・データのコーディングなどの研究補助の経費が必要となる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験協力に関する謝礼,実験実施・データのコーディングなどの研究補助に使用する予定である。
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