2014 Fiscal Year Research-status Report
公教育の構想指針原理に基づく実践理論体系化に関する研究
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26780465
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
苫野 一徳 熊本大学, 教育学部, 講師 (70507962)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 公教育の構想指針原理 / 自由の相互承認 / 一般福祉 / ヘーゲル / 現象学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、以下の2つのテーマについて研究を行った。 (1)公教育の構想指針原理研究およびこれが依拠する現代政治哲学の諸理論を収集し、それら諸理論を導出した「方法論」を抽出・類型化、その対立構造や問題点を明らかにする。 (2)以上明らかにされた対立や問題点のうち代表的なものを取り上げ、報告者がこれまでに提示してきた「教育構想のためのメタ方法論」および「構想指針原理」がこれらに対して原理的に優位であるかどうか検証する。 以上2つについて、研究は順調に進み、成果は『「自由」はいかに可能か―社会構想のための哲学』(NHKブックス)として発表した。まず(1)については、現代政治哲学諸理論を、「道徳・義務論的アプローチ」(Rawls1971、Dworkin1977など)「状態・事実論的アプローチ」(Sandel1998、Taylor1991など)「プラグマティックなアプローチ」(Rorty1998、Walzer2007など)の3つに類型化し、その原理的な問題点を明らかにした。その上で、(2)報告者がこれまでに解明・提示してきた、「現象学=欲望論的アプローチ」の、これら諸アプローチに対する優位性を明らかにした。本書ではその上で、公教育の構想指針原理をより原理的な地点から支える、社会構想原理を明らかにした。そしてさらに、それが公教育の構想指針とどのように関係するかもまた論じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね研究計画の通りに研究が進み、その成果を早くも単著にまとめることができた。また、広く、学会、教育委員会ほか様々な所で研究成果を発表・講演等する機会を与えられ、世に問うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
「公教育の構想指針原理を達成するための、個別具体的な実践理論の相補的・協同的・整合的な体系化のための理路(メタ理論)解明」に着手する。具体的には次の方法をとる。 (1)教育学を「目的・規範」部門と「実践」部門に区別し、両者の関係性および「実践理論」の相補的体系化の理路を明らかにする。 (2)先進的な教育実践を行っている国内外の実践者と協同し、「公教育の構想指針原理」に基づく「実践理論」の体系化に着手する。
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