2016 Fiscal Year Research-status Report
グローバルな諸課題を効果的に教える社会科の授業方略に関する研究
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26780499
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
内山 知一 奈良教育大学, 教育学部, 准教授 (10708465)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 社会科 / 方略 / 授業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、社会科系教科におけるグローバルな諸課題の教授の在り方を主要なテーマとしている。 平成28年度は、平成26年度・27年度の研究成果を整理し、調査や研究会等への参加で収集してきた米国の学校・研究機関・団体等の授業プラン・教育プログラムを多角的に分析した。また、ここまでの研究の補足として、必要な資料の収集を、引き続き行った。1980年代以降、米国の実践を受けて、日本の社会科系教科でもグローバルな学びが注目され、研究・実践も蓄積されてきた。本年度は、そうした背景や収集した方略の実践上の課題にも着目しながら、日本におけるグローバルな諸課題の教授の現状に照らして有用だと考えられるものを抽出・検討した。 具体的には、グローバルな諸課題の授業方略の中でも、課題についての話し合いに焦点を当て、これまで日本の社会科系教科で実施されてきた方略とも比較しながら、どのような実践が有効かを考察した。その際、日本の教育条件等にも着目することで、より日本にあったものとなるよう配慮した。グローバルな諸課題は、国境を越えて複雑に絡み合い、一国のみでは解決不可能なものも多い。また、問題の規模の大きさから、関係する国々やそこに住む多様な人々の利害・主張をまとめ、解決・改善に結びつけることは非常に難しい。本研究では、このような課題の特質をまず確認し、社会科系教科では、利害や考え方の異なる人々と、事実に基づき論理的に話し合うことはもとより、互いの立場の深い理解の中で、課題を柔軟かつ創造的に解決できる力を育成する方略が求められていることを示した。そして、この点も踏まえて、グローバルな諸課題の授業方略を整理・分析し、特に、話し合いの形態と効果に着目して考察・検討を行った。また、適宜、外部からの意見も取り入れ、方略を精査する機会を設けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度は、これまで収集してきた授業プラン・教育プログラムの整理・分析や日本の現状も踏まえた方略の検討等を行ったが、業務等との関連で、計画の一部を次年度に行う必要が生じた。平成29年度は、このことを踏まえ、平成28年度に積み残した部分の解消も行い、研究をさらに深めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、これまでの研究成果を集約・発展させ、グローバルな諸課題を効果的に教える社会科の授業方略について、さらに検討を進める。また、これまでに行った授業プラン・教育プログラムの分析に基づき、多角的な視点から、日本で有効な方略の提案を行う。その際、これまで得てきた社会科関係者の助言も踏まえて、より効果的に考察を行えるようにする。 近年、グローバルな諸課題は、ますます地域の生活に影響を与え、深刻化しているものも多い。また、多くの国で国内問題に目が向き、短期的な国益優先の視点から、グローバルな諸課題の解決に消極的な傾向も見られる。そうした最新の動向も踏まえ、教育分野以外の関連の知見も取り入れながら、研究に取り組んでいく。
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Causes of Carryover |
平成28年度は、平成26年度・27年度に収集した知見や資料を基に、グローバルな諸課題の授業方略の分析・検討等を行ったが、一部を、次年度に行う必要が生じたため、関連費用を繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、平成28年度に積み残した部分を解消し、さらに方略の検討等を進めていく。そのため、繰り越し分については、当該の研究に必要な関連の物品の購入や資料代、国内出張のための費用として使用予定である。
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