2015 Fiscal Year Research-status Report
三次元多様体の幾何構造と線形表現に対するライデマイスタートーションの漸近挙動
Project/Area Number |
26800030
|
Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
山口 祥司 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (30534044)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 三次元多様体 / 幾何構造 / ザイフェルト構造 / 双曲構造 / 位相不変量 / ライデマイスタートーション / 漸近挙動 / 増大度 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、ザイフェルト多様体とよばれる三次元多様体に対して位相不変量のなす数列の漸近挙動について考察を行った。平成27年度の研究では、ライデマイスタートーションという位相不変量から得られる実数列の増大度とその主要係数について研究を進めた。前年度はトーラス結び目の外部空間にソリッドトーラスを貼り合わせて得られるザイフェルト多様体について、ライでマイスタートーションのなす数列の増大度を決定した。平成27年度は、前年度までに得られていた考察を三次元多様体のザイフェルト構造に注目して一般のザイフェルト多様体に対する考察に拡張した。この拡張された考察により一般のザイフェルト多様体について、ライデマイスタートーションのなす数列の増大度を決定し、さらに数列の増減を決定する主要項についても係数の極限値を計算した。 今回の増大度の決定により、三次元多様体における幾何構造の違いが位相不変量のなす数列における増大度の違いとして導出されることを明らかにできた。三次元多様体の幾何構造は大きく双曲構造とザイフェルト構造に分けることができる。双曲構造を持つ双曲多様体についてはライデマイスタートーションのなす数列の増大度は決定されているため、今年度得られたザイフェルト多様体についての増大度と比較することが可能になった。その結果、ザイフェルト多様体に対するライデマイスタートーションの増大度は双曲多様体の増大度よりも小さくなることを解明した。さらにザイフェルト多様体の場合における主要係数の極限値の計算も行った。 以上の研究成果をまとめた論文を学術雑誌に投稿し掲載が決定されている。また、創価大学の北野晃朗氏と共著で関連する考察をまとめたプレプリントも発表することができた。研究計画にある当初の目標である増大度の決定を行えたので満足のいく研究成果を得ることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の研究目標は、一般のザイフェルト多様体についてライデマイスタートーションのなす数列の増大度を決定することであった。トーラス結び目の外部空間にソリッドトーラスを貼り合わせて得られるザイフェルト多様体における考察をザイフェルト構造に注目して一般のザイフェルト多様体に対する考察に一般化することに成功した。また、増大度の決定に加え、数列の増減を決定する主要項についても係数の極限値の計算を行った。 ザイフェルト多様体に対するライデマイスタートーションの増大度の決定とその主要項について係数の極限値の計算を行うところまで研究を進めることができた。研究成果をまとめた論文は学術雑誌への掲載が決定されている。本研究は計画以上に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
双曲多様体の場合には、ライデマイスタートーションのなす数列の増減を決定する主要項について係数の極限値は双曲体積によって決定されることが知られている。ザイフェルト多様体の場合にライデマイスタートーションのなす数列の主要項の係数(主要係数)の極限値の計算を行ったが、双曲多様体の場合に比べてザイフェルト多様体の幾何構造との関係については十分に解明ができていない。 平成28年度は、ライデマイスタートーションの漸近挙動とザイフェルト構造との関係について考察を進める。三次元多様体の幾何構造は基本群から線形群への準同型写像(線形表現)として代数的に捉えることが可能である。ライデマイスタートーションのなす数列の主要係数の極限値と基本群の線形表現の特徴の関係を解明することを目標に研究に取り組む。
|
Causes of Carryover |
原油価格変動の影響により外国出張の費用が少なく済んだため予算が余った。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度の研究打ち合わせの旅費として使用する。
|