2015 Fiscal Year Research-status Report
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26800062
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
岩尾 慎介 青山学院大学, 理工学部, 助教 (70634989)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 離散可積分系 / トロピカル幾何学 / 量子コホモロジー / Totally positivity |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、離散可積分系のpositivityに関する以下の事柄について、研究を行った。1. 離散戸田方程式の、特異曲線を使った解法の構成。2. 特異曲線上の逆散乱法(Krichever construction)で得られるデータと、行列のtotally positivity との関係を調べる。3. Full-Kostant Toda 方程式のtotally positivityについて。 4. 相対論的戸田方程式と、旗多様体の量子コホモロジーとの関係。5. Positive Puiseux matrix のPerron-Frobenius の定理の構成的証明。 標語的にいえば、1から5までの内容はすべて、「考えているデータが正の実数であること(≒考えているデータが、現実に存在するものであること)が、そのシステムにおいてどのような意味を持つか」を研究していると言い換えることができる。たとえば力学の問題であれば、考えているデータが(負の実数でも一般の複素数でもなく)正の実数であるということは、その力学が現実に実現可能であるということを含意している。 1と2は、前年度からの続きである。本研究の本来の目的は、特異トロピカル曲線の構成と、その超離散可積分系への応用である。これらはその前段階として、離散可積分系のデータがtotally positive であることが、代数曲線の言葉でどう翻訳されるかを調べたものである。3は、2の結果の一般化である。4は、本研究から派生した新しい研究で、可積分系理論の(量子)幾何学への応用を狙ったものである。5は正行列のPerron ベクトル(=絶対値が最大の固有値に属する固有ベクトル)の計算にトロピカル線形代数が応用できることを示したものである。 1.2.5.についてはそれぞれ論文を準備中である。3.4.については、引き続き研究を継続する計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
離散戸田方程式に関する totally positivity の研究がある程度進み、周りの専門家との議論に乗せることができる段階までには到達していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の成果を踏まえ、1.完成している結果の論文準備・研究発表、2.より進んだ内容の研究遂行、を行う。
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Causes of Carryover |
2015年末に渡航する予定で予算計画を立てていたが、日程上の都合で不可能であったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、研究成果発表のための予算を多く割り振り、研究遂行に資するように計画する。
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Research Products
(3 results)