2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26800107
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
小山 佑世 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 宇宙航空プロジェクト研究員 (40724662)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 光赤外線天文学 / 銀河進化 / 銀河形成 / 銀河団 / 原始銀河団 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、銀河形成のピーク期である赤方偏移2の原始銀河団を主な研究対象とし、そのなかで急速に進化する銀河の内部構造および星形成活動の詳細を、多波長・高解像度の観測によって徹底的に調査することを目的とする。初年度である平成26年度は、本研究課題の中核となる面分光データの解析手法の習得・構築と、そのデータ解析結果の解釈を行ううえで重要となる銀河のダスト減光量についての基礎研究を進めることを主眼として研究活動を行い、以下のとおり重要な進展があった。 (1)面分光データ解析の進展と観測時間の獲得: 当初の予定どおり英国ダラム大学への出張によって面分光データの解析手法の基礎を学び、すでに取得しているSXDF領域の赤方偏移2.5のHα輝線銀河のVLT/KMOSデータの解析を完了した。また研究代表者がPIとなって提案した赤方偏移2.2の原始銀河団領域のKMOS多天体面分光観測提案が2015A期の最優先課題として採択され、次年度の早い段階でさらに大きな面分光データが構築されることは特筆すべきことである。 (2)銀河ダスト減光に関する基礎研究の推進: 本研究課題では、主にHα輝線を利用して銀河のさまざまな性質を解明することを目的としているが、星形成活動の優良な指標であるHα輝線といえどもダストによる減光の影響を受ける。その減光量を正確に見積もることは、遠方銀河では非常に難しいことであるが、研究代表者らはスローン・デジタル・スカイ・サーベイと、我が国の「あかり」衛星による全天の赤外線データ、さらにGALEX衛星による全天の紫外線観測データを用いて、銀河のHα輝線光度と紫外線光度の比較からダスト減光量を求める経験則を導いた。この経験則は、次年度以降の本研究課題のみならず、今後さまざまな研究において利用される可能性のあるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、当初の予定どおり英国ダラム大学に滞在し、面分光データの解析方法を習得することができただけでなく、次年度以降の研究でも重要となってくるダスト減光についての基礎的な研究結果を論文として投稿することができた。また、2015A期に欧州南天天文台VLTの多天体面分光装置KMOSの観測時間をさらに獲得できたことで、次年度以降に向けて当初期待していた以上の成果が得られていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
VLTの多天体面分光装置KMOSの観測時間の獲得を含めて、平成26年度までに遠方銀河の面分光データは順調に蓄積されつつあるが、引き続き8メートル級望遠鏡の観測時間を獲得して世界的にも例のない系統的な遠方銀河団銀河の面分光サーベイを実現していく。また、原始銀河団領域においてすばる望遠鏡の補償光学(IRCS+AO188)を用いた銀河の内部構造の研究も進めて論文執筆を行うとともに、本研究課題が目指すALMA望遠鏡の観測時間の獲得へとつなげていく。
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Causes of Carryover |
研究計画および予算執行計画はほぼ予定どおり進んでいるが、わずかな残額(195円)が生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度も計画どおりの予算執行により、問題なく使用できると考えている。
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[Journal Article] An Excess of Dusty Starbursts Related with the Spiderweb Galaxy2014
Author(s)
H. Dannerbauer, J. D. Kurk, C. De Breuck, D. Wylezalek, J. S. Santos, Y. Koyama, N. Seymour, M. Tanaka, N. Hatch, B. Altieri, D. Coia, A. Galametz, T. Kodama, G. Miley, H. Rottgering, M. Sanchez-Portal, I. Valtchanov, B. Venemans, B. Ziegler
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Journal Title
Astronomy & Astrophysics
Volume: 570
Pages: 55-73
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Galaxy population properties of the massive X-ray luminous galaxy cluster XDCP J0044.0-2033 at z=1.58: red-sequence formation, massive galaxy assembly, and central star formation activity2014
Author(s)
R. Fassbender, A. Nastasi, J. S. Santos, C. Lidman, M. Verdugo, Y. Koyama, P. Rosati, D. Pierini, N. Padilla, A. D. Romeo, N. Menci, A. Bongiorno, M. Castellano, P. Cerulo, A. Fontana, A. Galametz, A. Grazian, A. Lamastra, L. Pentericci, V. Sommariva, V. Strazzullo, R. Suhada, P. Tozzi
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Journal Title
Astronomy & Astrophysics
Volume: 568
Pages: 5-27
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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