2015 Fiscal Year Research-status Report
惑星系形成過程におけるジャイアント・インパクト現象への観測的アプローチ
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26800110
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
藤原 英明 国立天文台, ハワイ観測所, RCUH職員 (70581445)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 惑星形成 / ダスト / 赤外線観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
赤外線天文衛星「あかり」の全天サーベイ点源カタログで同定されたデブリ円盤について、前年度に引き続きすばる望遠鏡による中間赤外線観測プログラムが採択され、これまでに新たに同定された候補天体も含めた観測を行った。その上で、過去に取得されたデータとともに中間赤外線スペクトルの解析を進めてきた。特に、ダストに由来する顕著なフィーチャーが見られた一つの太陽型星については、岡山天体物理観測所で取得された可視光高分散スペクトルの解析も行い、中心星の性質とダスト生成との関連を深く調べている。同時に、恒星の運動学的性質から中心星の進化度合いを吟味するための共同研究を海外の研究協力者と展開し、既知の運動学的な恒星群に属さないという情報を得た。これらの成果の一部について国際研究会等で発表し、また共著者として学術誌に論文を投稿中である。 さらに、「あかり」で同定されたデブリ円盤のうち南天に分布している天体について、ヨーロッパ南天天文台に提案していた中間赤外線観測プログラムが最高優先度で新たに採択され、平成28年度前半に観測が行われることになった。観測ターゲットの中には、我々によって過去に1度中間赤外線で観測された天体も含まれている。そのためこの観測はデブリ円盤におけるダストフィーチャーの時間変動の検出を試みる上で重要であるため、事業期間を延長することとした。 またこれらと並行して、ダストが放つ中間赤外線の時間変化を生じさせうる要因を吟味するため、太陽系内にある土星リングのダストの中間赤外線観測データの解析も行った。その結果、観測者に対するリング(円盤)の向きによって、中間赤外線放射の強度分布が変わることが分かってきた。この結果についてはすでに論文にまとめ、学術誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
赤外線天文衛星「あかり」の全天サーベイ点源カタログで同定されたデブリ円盤について、様々な波長・手法による観測データが充実した。それらのデータの占有期間には限りがあるため、それらの解析作業に注力する必要が生じた。その結果、ダストに由来する顕著なフィーチャーを示す興味深い太陽型星などの検出に至った他方で、当初計画していた WISE 衛星などの大規模データを使った円盤探査作業に遅れが生じている。 その一方で、デブリ円盤を持つ恒星の運動学的な検討についての共同研究やヨーロッパ南天天文台での新たな観測プログラムの採択、さらに太陽系内ダストの観測データに基づく中間赤外線強度の変動の吟味など、新たな展開があった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに取得された、あるいはこれから取得される様々な地上観測データの解析を終わらせ、その結果を論文にまとめる。その中で、新たなデブリ円盤探査のためにこれまでに整備した大規模カタログの情報も有効に活用する。また、本研究課題においてすでに投稿している2編の論文については、査読結果に基づく改訂作業に注力し、学術誌における最終的な出版を目指す。その上で、アルマ望遠鏡などによる将来の観測計画を立案する。
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Causes of Carryover |
ヨーロッパ南天天文台で新たに採択された観測プログラムが平成28年度に実施されることになったが、これは補助事業の目的をより精緻に達成するために必要な観測であるため、事業期間を平成28年度まで延長した。観測実施にあたっては天文台があるチリに渡航する必要があるため、平成27年度に執行する予定であったHerschel宇宙望遠鏡等のデータ処理に伴う物品費及び旅費の執行を取りやめ、ヨーロッパ南天天文台での観測およびデータ解析のための渡航費用及び物品費として使用することとした。また、投稿中の論文は現在査読を受けている段階であり、出版費用の支出が平成28年度に必要となる。これらの使用計画のために次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ヨーロッパ南天天文台での観測及びデータ解析のための渡航費用及び物品費として使用する。また、投稿中、今後投稿予定の論文の出版費用として使用する。
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[Journal Article] Significant gas-to-dust ratio asymmetry and variation in the disk of HD 142527 and the indication of gas depletion2015
Author(s)
Muto, Takayuki; Tsukagoshi, Takashi; Momose, Munetake; Hanawa, Tomoyuki; Nomura, Hideko; Fukagawa, Misato; Saigo, Kazuya; Kataoka, Akimasa; Kitamura, Yoshimi; Takahashi, Sanemichi Z.; Inutsuka, Shu-ichiro; Takeuchi, Taku; Kobayashi, Hiroshi; Akiyama, Eiji; Honda, Mitsuhiko; Fujiwara, Hideaki; Shibai, Hiroshi
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Journal Title
Publications of the Astronomical Society of Japan
Volume: 67
Pages: 122(1-28)
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] High-resolution 25 μm Imaging of the Disks around Herbig Ae/Be Stars2015
Author(s)
Honda, M.; Maaskant, K.; Okamoto, Y. K.; Kataza, H.; Yamashita, T.; Miyata, T.; Sako, S.; Fujiyoshi, T.; Sakon, I.; Fujiwara, H.; Kamizuka, T.; Mulders, G. D.; Lopez-Rodriguez, E.; Packham, C.; Onaka, T.
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Journal Title
The Astrophysical Journal
Volume: 804
Pages: 143(8pp)
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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