2016 Fiscal Year Annual Research Report
Observational Approaches to Giant Impact Events in Planet Formation Processes
Project/Area Number |
26800110
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
藤原 英明 国立天文台, ハワイ観測所, RCUH職員 (70581445)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 惑星形成 / ダスト / 赤外線観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
赤外線天文衛星「あかり」の全天サーベイ点源カタログで同定されたデブリ円盤のうち、南天に分布している天体についてはヨーロッパ南天天文台 VLT に搭載された中間赤外線観測装置 VISIR を用いて (2016年6月)、北天に分布している天体の一部については前年度に引き続きすばる望遠鏡搭載の中間赤外線観測装置 COMICS を用いて (2017年2月)、10 マイクロメートル帯の分光観測を行った。想定していたデータは概ね取得でき、制約を進めた上で他の時期に取得された赤外線データとの比較を行い、変動性を吟味している段階にある。 さらに、顕著なダストフィーチャーが検出された一つの太陽型星のデブリ円盤について、フィーチャーの形状に基づく組成分析を行った。その結果、このデブリ円盤ではサイズの小さな (サブマイクロメートル程度) の非晶質シリケイトダストが支配的であり、比較的大きな (マイクロメートル程度) の非晶質シリケイトや結晶質シリケイトの存在比が大変少ないことがわかった。既知のデブリ円盤の中では稀な組成を持つデブリ円盤であると考えられ、ジャイアント・インパクト現象との関連を議論する論文を準備中である。 またこれらと並行して、すばる望遠鏡 COMICS で取得された土星リング粒子の中間赤外線観測データの解析も行ってきた。ジャイアント・インパクトによって生成された可能性も指摘されている土星のリングはデブリ円盤のテンプレートとして捉えられ得ることを踏まえ、中間赤外線放射の時間変動について解析を行った。特に今年度は探査機「カッシーニ」で得られた遠赤外線データや光学的厚み情報を付加することで、粒子の温度やその変動について詳細な情報を得ることができた。その上で、これらの結果をまとめた論文を Astronomy & Astropysics 誌に出版した。
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