2017 Fiscal Year Annual Research Report
A search of new physics by measurement of properties of the Higgs boson
Project/Area Number |
26800140
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
織田 勧 九州大学, 理学研究院, 助教 (10613515)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ヒッグス粒子 / LHC加速器 / ATLAS実験 / 4レプトンチャンネル / 素粒子標準模型を超える新物理 / 国際研究者交流 / CERN |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度に約44/fbのデータを新たに取得した。LHC加速器の真空度が悪化する問題が起こり、少ない衝突バンチ数で所定の瞬間ルミノシティを達成せざるを得ず、ATLAS実験の検出器には事前の想定より困難な状況になった。シリコン半導体検出器(SCT)のオフライン処理を担当するとともに、データ取得の最適化を考案し、実装の後は検証も行い、検出効率で約0.01%の悪化であり、荷電粒子の測定にほぼ影響がないことを確認した。LHCの運転は予期していたものと異なったが、CERNでデータ取得システムのエキスパート達と密に連絡を取り、安定な運転を実現した。ATLASの主要な検出器のうちでSCTは不感時間が0.13%と最も小さく、取得したデータのうちSCT起因の問題で解析に用いることができないデータはわずか0.1%であった。 ヒッグス粒子の4レプトンチャンネルでの解析用データの作成を担当し、100 TB以上のデータを大きな問題なく順調に作成した。 平成28年度までのデータを用いて、4レプトンチャンネルで、約60個のヒッグス粒子を観測し、微分断面積と結合それぞれの最終結果を得て、論文として出版した。観測した値のほとんどは、素粒子物理学の標準模型に基づく理論計算の値と誤差の範囲内で一致し、標準模型を超える物理現象はまだ見つかっていない。光子対チャンネルと合わせて、ヒッグス粒子の質量を測定し、平成29年7月に公表した予備的な結果では、4レプトンチャンネル単独で370 MeV(相対的に約0.3%)の精度で、統合すると280 MeVの精度であった。 平成29年度に取得したデータを含めた最新結果は、平成30年6月頃に公表する予定である。 データの再構成や物理解析に用いるソフトウェアを、最近のコンピューターの特徴である、多いコア、少ないメモリーに合わせ、マルチスレッド化する、移行を順次行った。
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