2014 Fiscal Year Research-status Report
コンタミネーションを抑制したスターラーレス微小量液滴撹拌技術の開発
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26820027
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Research Institution | Akita Industrial Technology Center |
Principal Investigator |
中村 竜太 秋田県産業技術センター, その他部局等, 研究員 (00634213)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 撹拌 / スターラーレス / 非接触 / 電界 / 吸引力 / 温度 |
Outline of Annual Research Achievements |
当年度は、簡易的な交流高電場印加液滴挙動観察装置(本装置の上電極はITO(透明電極膜付)ガラスを用いることによって上部からも液滴挙動が観察できる装置となっている)を用いて、電界印加による微小液滴の基本的な挙動観察、溶液内部の挙動観察を行い、印加電圧や印加周波数をパラメータとして、定量的に電界印加によるスターラーレス撹拌技術の特徴を明らかにした。 具体的には、まず動力計を用いて、電界印加により発生する力を定量的に測定・評価した。また、電界印加によって液滴が最大の振幅を示す共振周波数について、液量と液滴の底面直径の観点から調査した。さらに、本撹拌技術が液温度に及ぼす影響について評価した。 結果として、印加電圧(電界強度)と吸引力とは比例関係が成り立ち、印加電圧は吸引力の大きさに影響を与えることが明らかになった。次に、液滴が共振する周波数については、液滴重量が軽い微小液滴ほど、共振周波数が高くなり、液滴が上下する振動特性に優れていることを明らかにした。従来、微小量液滴では乱流を生じさせ難いということであったが、この結果より、本撹拌技術においては液滴重量が軽い少量の液滴ほど、撹拌性に優れていることを明らかにした。また、温度については本撹拌技術による液滴温度の上昇は無く、タンパク質や組織の変性の恐れが無いという特徴を得ることができた。 さらに、本撹拌中に液滴内部で微粒子が示す挙動観察実験を炭酸カルシウム粒子を用いて行った。観察結果から算出した粒子速度と印加電圧との関係から、印加電圧に対して,粒子速度は対数的に上昇し、無電界に対して、3kVにて約1200倍の粒子速度が上昇することを確認した。これより、電界印加によるスターラーレス撹拌により微粒子の粒子速度が加速されることが明らかになった。 また、良好な撹拌再現性を導くためのリング状はっ水コート材の開発も行い、開発に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
従来用いていた簡易的なシステムを大幅に改良し、様々な撹拌条件に対応できる交流高電場印加液滴挙動観察装置の開発が遅れているため。しかし、交付申請書に記載した研究の目的の液滴挙動メカニズムの解明、リング状はっ水コート材の開発は達成している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、電界印加によるスターラーレス撹拌技術の特徴を明らかにした。平成27年度は、被撹拌物質の内容物の方に着目し、交流高電場印加が、内容物に及ぼす影響を調査し、そのメカニズムを解明する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として、簡易的な観察システムの大幅改良を行わなかった事が挙げられる。また、当助成金を旅費として使用する回数が少なかったことも挙げられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上下電極の回転運動かつ往復運動可能な機構を備えて、さらに上下電極を数度傾けられる機構を備えた交流高電場印加液滴挙動観察装置を開発する。また、本技術の更なる発展と周知のために旅費を使用したいと考えている。
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Research Products
(8 results)