2014 Fiscal Year Research-status Report
独の都市計画分野における「都市モニタリング」の運用実態と課題に関する研究
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26820255
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
太田 尚孝 筑波大学, システム情報系, 助教 (30650262)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ドイツの大都市の都市モニタリングの整備状況と課題 / セグリゲーション評価の解釈 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、ドイツの都市計画分野における都市モニタリング(Stadtmonitoring)の歴史的発展経緯及び大都市での導入実態について、ベルリン市・ハンブルク市・ミュンヒェン市・ケルン市及び関係機関へのヒアリング調査を含めて調査研究を実施した。主な研究成果は以下のとおりである。 第一に、ドイツの大都市における都市モニタリングの重視の方向性である。ドイツの大都市では対策の必要性と情報技術の発展等により、セグリゲーション評価が都市モニタリングという概念の下、変貌を遂げていることがわかった。また、使用指標の組み合わせ方によっては、都市モニタリングは社会的問題地区の特定化以外にも、成長地区の抑制化を含めたより広い意味で成長管理手法としても利用可能であるといえ、今後の動向や成果、課題はわが国でも注目に値するといえる。 第二に、モニタリング結果の解釈の難しさである。最も体系的で先進的とみられるハンブルク市では、分析手法の妥当性や結果の解釈への創意工夫もみられるが、実施主体側の多くの制約条件下でモニタリングが実施されていることも事実であった。ドイツに限らず世界中の多くの大都市で客観的データによるセグリゲーションの把握と対策はますます重要になることが予想されるが、データの一面的な理解を回避し、真に有効な施策を実行するには、継続的で多層的なコミュニケーションの場の構築の必要性がより大きくなっているともいえる。 なお、今年度の調査研究の成果については関係学会の査読付き論文として投稿をした(現在、査読中扱い)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画案では、ベルリン市およびハンブルク市のみを調査対象にしていたが、ミュンヒェン市およびケルン市との大都市間比較が可能となったこと、初年度の研究成果を関係学会の査読付き研究論文として既に投稿できたことから、「当初の計画以上に進展している」と評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の進め方としては、確かに4大都市間の都市モニタリングの比較調査を行ったが、表層的なシステムの比較にとどまっており、モニタリングの思想や現状の課題についてより深い調査を行う必要がある。 また、ベルリン市やハンブルク市の都市モニタリングは毎年行われており、最新の情報を踏まえた分析が必要といえる。 これらの調査課題を解明するためにも、平成27年度に再度、現地調査を行い、実施主体だけでなく外部専門家からみたその在り方の評価を理解することが求められる。
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