2014 Fiscal Year Research-status Report
高分子光ファイバーのフォトルミネッセンスを利用した応力及び応力方向センサーの開発
Project/Area Number |
26820303
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
古川 怜 電気通信大学, その他部局等, 助教 (50589695)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 光ファイバーセンサー / ポリマー光ファイバー / マルチモード光ファイバー / 光弾性 / 蛍光 |
Outline of Annual Research Achievements |
光ファイバー応力センサーは,印加された応力に応じて透過光強度が変化する仕組みをファイバー配線に付加した物であり,応力位置が特定できることから構造物のヘルスモニタリングに使用されている.しかし,応力のかかる方向(方位)までは検知できないため,破壊状況に関する詳しい情報は得られなかった.本研究では,光ファイバーの母材中の分子配向が応力方向に依存する効果を利用することにより,応力方向の検知を可能とする光ファイバーセンサーを創出することを目的とした. 平成26度前半は,応力を光ファイバーに印加する実験系の改善を行った.荷重試験機と光ファイバーのレイアウトを最適化し,ロードセルから光ファイバーへ応力を伝える治具の改良を行った.改良後,応力に対する歪み量が荷重時と解除時に同じ軌跡をたどるようになった. 平成26度後半は,コアに蛍光色素を添加した偏波保持性能を持つポリマー光ファイバーを試料として準備した.色素の励起波長を入射しながら光ファイバーに垂直な応力を印加し,入射する直線偏波の振動面と応力方向の関係性を,ニアフィールドパターン測定を中心に解析した.応力方向と偏波振動面が一致した際よりも,それらが垂直をなす場合に高強度の発光波長が出射されれば,仮説通りとなる. 測定結果として,仮説と矛盾のない傾向が得られたが,信号は極めて微弱であった.平成27年度は,より明瞭な信号の抽出を目的とし,添加する色素の濃度や導波路条件の最適化を通じ,現状で確認されている現象について更に詳しい解析を行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
提案書には,平成26年度10月に提案した実験系の構築及びそれを使った測定を完了し,平成27年1月から4月に,色素・コア形状の再検討段階を完了すると記載している.現状と対比させると,色素の濃度や導波路条件の最適化を開始した時点が平成27年4月であるため,3ヶ月ほどの遅延といえる.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では色素の励起光を光ファイバーに入射しているわけだが,現状では,光ファイバーに応力を印加している部分に到達する励起光の絶対量が足りないため,応力に対する信号が微弱になっていると判断している.これを改善するには,色素の添加量を現状より少なくし,光の入射端から応力印加部までに存在する色素による励起放出を制限することが効果的であると考えている.一方で,色素の総量を減少させることにより,応力により配向を起こす色素の絶対量も減少することが見込まれ,これはまた信号を微弱化する要因となる.従って,光ファイバーのコアに添加する色素の量については,最適な範囲を見極める必要がある.今後は,以上の考察をベースに改良を行う.
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Causes of Carryover |
初年度に計上していた特注試験機の仕様や必要性についての検討過程が予定よりも長引いたため,年度内の購入に至らなかった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
光学素子や試薬の調達にあてる.
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Research Products
(3 results)