2014 Fiscal Year Research-status Report
AMP活性化プロテインキナーゼによるタイトジャンクション機能制御の解析
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26840068
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
矢野 智樹 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20546121)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 細胞間接着 / タイトジャンクション / AMP活性プロテインキナーゼ / アドヘレンスジャンクション |
Outline of Annual Research Achievements |
上皮細胞シートは細胞接着装置であるタイトジャンクション(TJ)により外界と体内を隔てているだけでなく、TJは生体内の恒常性するためにその機能をダイナミックに変化させている。今日までTJのダイナミックな機能制御機構の詳細は不明であったが、申請者はAMP活性プロテインキナーゼ(AMPK)がTJの機能制御において重要な働きをしている事を明らかにした。これによりAMPKが恒常性の維持の制御機能を担っていることが示唆され、この制御機能を明らかにする事は生体の恒常性維持のメカニズム解明に向けて非常に重要であると思われる。よって、TJに局在するAMPKの基質タンパク質の機能を解析し、AMPKによるTJ制御機能を統合的に理解する事を目的とし、研究を進めてきた。新たなAMPKの基質としてTJP1とTJP2が予測として挙げられたため、本年度はTJP1とTJP2のノックアウト細胞を作成し、今後の研究に使用する計画であった。TJP1とTJP2のノックアウト細胞を作成するにあたり、CRISPR-Cas9システムを用いて作成した結果、何とかこのダブルノックアウト細胞を作成することに成功した。TJP2のノックアウト細胞は増殖率がワイルドタイプに比べて低い細胞が多かったため、クローニングに多くの時間を費やした。現在は、このダブルノックアウト細胞とワイルドタイプ細胞を比較し、TJだけに変化が起きていることを示す実験の最中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究はTJP1とTJP2のダブルノックアウト細胞を作成したところから研究がスタートするものであるが、そのダブルノックアウト細胞を作成するのに時間を費やしてしまったため遅れが生じている。ダブルノックアウト細胞の作成は成功したと思われるが現在はその細胞の性質の確認作業を行っている最中である。TJP2のAMP活性プロテインキナーゼ (AMPK) の標的配列は予測されたが、TJP1の標的配列は現在探索中であり、この点でも少々の遅れが生じている。TJP2のAMPKの標的配列に変異を起こしたリン酸化型/非リン酸化型TJP2を作成し、TJP2ノックアウト細胞に導入し、タイトジャンクション (TJ) に及ぼす影響を今後観察していく。
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Strategy for Future Research Activity |
まずはじめに、TJP2のリン酸型/非リン酸型変異タンパク質によるタンパク質相互作用への影響を解析する。 TJP1、TJP2ともに相互作用するタンパク質が報告されている。よってリン酸型/非リン酸型変異タンパク質によるタンパク質相互作用への影響を観察する。具体的な方法としてまず、細胞のタンパク質画分を抽出し、精製したTJP1/TJP2の野生型及び変異型とタンパク質相互作用解析(pull-down assay)を行う。その後、電気泳動後、銀染色を行い、変化の見られたバンドを解析し、TJP1/TJP2の結合の変化を解析する。結合が認められるタンパク質とTJP1/2の結合部位を詳細に検定するためにドメイン解析を行う。さらに、この三次元培養をさまざまな手法を用いた電子顕微鏡観察を行うことで、より詳細にAMPKによってTJの機能制御が変化した際の上皮細胞シートの形態変化を観察していく。 これらと並行して細胞間接着力に関与するタンパク質の解析を行っていく。
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Causes of Carryover |
研究計画に遅れが生じているために、生成タンパク質の購入やタンパク質の質量解析などに掛かる物品費が少額になっているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は本申請の最終年度であるので、研究目標の達成を目指して、研究の発展と収束を行う。最終年度に繰り越した額は、生成タンパク質の購入やタンパク質分析など前年度分に必要であった物品を購入する。
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