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2014 Fiscal Year Research-status Report

核の細胞内配置を制御するメカニズムは細胞種ごとにどのような違いがあるのか?

Research Project

Project/Area Number 26840072
Research InstitutionNational Institute of Genetics

Principal Investigator

木村 健二  国立遺伝学研究所, 構造遺伝学研究センター, 助教 (40644505)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2016-03-31
Keywords核 / 細胞質流動 / 受精卵 / 線虫
Outline of Annual Research Achievements

本研究では、未分化な受精卵と分化した多核細胞における核配置機構を明らかにすることで、多様な核配置戦略とそれらの配置効果の理解を進めることを目的としている。これまで主に線虫C. elegansの受精卵内における精子核の動態に関する解析を行った。線虫受精卵では受精直後に二つの連続した細胞質流動が起きることが知られていることから、これらの流動が及ぼす精子核配置への影響に注目して解析を行い、以下の成果を得た。
1. 卵母細胞に侵入した精子核を追跡するため、精子の染色体が蛍光タンパク質で可視化された雄と細胞膜が蛍光タンパク質で可視化された雌雄同体を用意した。それらの交配実験で得た受精卵の顕微鏡撮影を行い、侵入した精子核の位置変化を捉えた画像データを取得した。
2. 精子核のトラッキングを行い、その卵内における座標の時間変化を定量化した。さらに画像解析により受精直後に起こる細胞質流動の方向性と速度を定量化し、加えて流動を阻害したときの影響も調べた。
3. 殆どの精子核は将来の後極側に侵入し、その直後に起こる微小管とキネシンに依存した第一の細胞質流動に依存して卵内部へと大きく移動する傾向にあった。その後、アクチンとミオシンに依存した第二の細胞質流動に依存して、楕円形の卵の長軸極の片側、つまり将来の後極側へと位置変化することがわかった。
以上の結果から、線虫の受精直後の卵内において、精子核が細胞質流動を利用して配置を変化させるという新事実が明らかになった。これは以前に提案されていた核配置機構(K. Kimura & A. Kimura, PNAS 2011)とは異なる、新たなメカニズムである。これまで精子核の侵入点が将来の極性決定に重要なことはわかっていたが、殆どの精子核が楕円形の卵の長軸極の片側へ配置する機構は不明であった。今回の発見はそれに答える極めて重要なデータである。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初の実施計画通りに実験が進んでおり、目的としていたほとんどのデータを取得できているため、おおむね順調に進行しているといえる。研究実績の概要に記したように未分化な受精卵における精子核の配置機構の解析は本研究の主目的の一つであり、そのメカニズムの解明にとって軸となるデータの取得がすでに達成できていると考えている。これらの成果をまとめた論文も作成中である。また、もう一つの主目的である分化後の多核細胞の核配置機構の解析ついてもすでに着手している。今のところ計画の進行に支障があるような大きな問題は特に生じていない。

Strategy for Future Research Activity

今後は、これまでの研究実績の概要に記した精子核配置に関するデータの再現性を確認しつつ論文を作製し、投稿を行う。加えて、本研究のもう一つの目的である分化後の多核細胞における核配置機構の解析を進めていく。具体的には、線虫C. elegansの分化した腸と表皮細胞を多核化細胞のモデルとして、それらの細胞における核の配置に関して調べる予定である。これまでと同様に、それらの細胞における核配置を評価するための定量化を行い、その配置に必要な分子群を同定し、それらの機能解析を行う。これらのデータを元に各細胞種における核配置のメカニズムを考案し、検証実験を加える。さらに、それらの多核細胞における核配置を乱した時の影響を解析し、多核の意義を明らかにしていく予定である。以上の研究成果をまとめた多核細胞の核配置に関する論文を作製し、投稿を目指す。

Causes of Carryover

購入予定だった実体顕微鏡を購入しなかったことに加え、作成中の論文をまだ英文校閲へ回していなかったことなどから、次年度使用額が生じた。

Expenditure Plan for Carryover Budget

主に実体顕微鏡などの物品費や論文投稿時の英文校閲費や投稿費といった人件費・謝金に使用する。

  • Research Products

    (2 results)

All 2014

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] Quantitative analysis of microtubule orientation and organelle movements during meiotic cytoplasmic streaming in C. elegans early embryos2014

    • Author(s)
      木村健二
    • Organizer
      C. elegans Development, Cell Biology, and Gene Expression Topic Meeting in association with the 6th Asia-Pacific C. elegans Meeting
    • Place of Presentation
      奈良県新公会堂
    • Year and Date
      2014-07-15 – 2014-07-15
  • [Presentation] 細胞質流動メカニズムの共通性と独自性~線虫C. elegansにおける細胞質流動の解析~2014

    • Author(s)
      木村健二
    • Organizer
      第66回日本細胞生物学会大会
    • Place of Presentation
      奈良県新公会堂
    • Year and Date
      2014-06-13 – 2014-06-13

URL: 

Published: 2016-06-01  

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