2015 Fiscal Year Research-status Report
ストリゴラクトンの立体構造多様性と植物生理活性の解明
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26850069
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
謝 肖男 宇都宮大学, バイオサイエンス教育研究センター, 助教 (30610323)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ストリゴラクトン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主に植物の根部から地上部への輸送に関する、SLの構造・立体化学特異性について研究を行った。SLは主に根部で生合成され、地上部へと輸送されて地上部の枝分れを抑制する。根部から地上部へは導管経由ではなく、恐らくABC transporterによって輸送される。天然SLは,α配位のC環を持つorobanchol-type とβ配位のC環を持つstrigol-typeに分けられる。イネはorobanchol-type SLを、ソルガムはstrigol-type SLを、タバコは両方のタイプのSLを生産する。そこで、イネ、ソルガム、タバコを材料として、根部処理したSLの地上部への輸送における構造および立体化学の関与を調べた。Orobanchol-type SLを生産するイネでは、d1-orobanchol とd6-4DO が検出され、strigol-type SLを生産するソルガムではd6-5-deoxystrigol のみが検出された。一方タバコの地上部には、d1-orobanchol,d6-4DOおよびd1-ent-2'-epi-orobanchol ,d6-5DSが含まれていた。すなわち、①供試植物種すべてにおいて、(2'R)の立体配置を有する天然型SLのみが根部から地上部へと輸送されること、②イネとソルガムのようにorobanchol-typeあるいはstrigol-typeどちらか一方のSLを生産する植物では,根部から地上部への輸送に関しても同じ立体選択性を示すこと、さらに③ソルガムでは、内生SLであり9位に水酸基を持つsorgomolと同じstrigol-typeのSLであっても,水酸基の位置が異なる化合物は輸送されなかった。以上のように、SLの根部から地上部への輸送は、構造・立体化学特異的であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は当初計画通りに、種々の植物が生産するストリゴラクトンを、立体異性体を含める詳細な解析を行っている。また、本年度において、植物内、根から地上部に関するSLの移動、そして構造的の特異性について調べた。その結果、世界ではじめて植物はそれぞれSLの根部から地上部への輸送は、SLの構造的に立体化学特異的であることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後陸上植物の進化に従い、コケ植物、シダ植物、裸子および被子植物が生産・分泌するストリゴラクトンの構造的・立体的な特有性を、より多くの植物種を用いて、詳細に解析する予定である。また、これらの植物種において、根から分泌するSLだけでなく、植物体内の各部位に含まれているSLの検出に挑戦する。
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Causes of Carryover |
本年度に購入予定の分析用カラム(10万円)が一時品切れのため、購入することができず、次年度に使用額が生じてしまいました。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定通りにカラムの購入に使用する予定です。
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Research Products
(12 results)