2014 Fiscal Year Research-status Report
反芻動物の筋組織発達におけるケメリンおよびその受容体の作用究明
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26850169
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
宋 相憲 島根大学, 生物資源科学部, 助教 (50617074)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ケメリン / ケメリン受容体 / 脂肪細胞分化 / 筋細胞分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度の研究では、反芻動物の筋組織および脂肪組織におけるケメリン(chemerin)とケメリン受容体(CKMR1)の発現動態を調査するため、体組織および体組織由来の培養細胞を作成し、脂肪細胞・筋細胞への分化を行った。その結果、反芻動物の月齢によるケメリンおよびケメリン受容体の遺伝子発現量の差は明確ではなかったが、筋細胞および脂肪細胞への分化刺激によるケメリン受容体の遺伝子は、発現量の変動がなく、ケメリンの遺伝子発現量は、分化の進行と共に増加した。細胞の増殖期では、細胞の密集した時と比べ、ケメリンの遺伝子発現が高かった。さらに、分化刺激物質によるケメリンの遺伝子発現量は、TZD(Thiazolidinedione)とDEX(Dexamethasone)により制御された。脂肪細胞において、PPARγのリガンドであるrosiglitazoneの処理は、分化期間の中期および後期でケメリン発現量を減少し、PPARγとケメリンの深い関連性を示唆した。筋繊維形成過程におけるケメリン受容体の遺伝子発現は、脂肪細胞への分化時と同様な発現パターンが見られ、脂肪細胞での分化遺伝子および筋細胞分化遺伝子との関連性が考えられる。一歩、脂肪酸の処理によるケメリンおよびケメリン受容体の発現動態調査の結果では、短鎖、中鎖、長鎖脂肪酸の処理によりケメリン遺伝子の発現が変動した。これらの結果は、脂肪酸の処理は、ケメリン受容体又は、他の受容体を介してケメリン遺伝子の発現を制御する可能性を示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2014年度の研究では、反芻動物におけるケメリンおよびケメリン受容体の発現動態、培養細胞の増殖時におけるケメリン遺伝子の発現、脂肪細胞および筋細胞の分化誘導による遺伝子発現調査を目的とし、実験を行った。その結果、筋組織、脂肪組織の発達過程におけるケメリンおよびケメリン受容体の発現動態を確認したことと共に、細胞分化に関連する物質の処理による遺伝子発現の変動までの把握が可能であった。これらの成果は、2014年度に予定していた目標に沿うと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度の研究では、筋細胞の増殖および分化におけるケメリンとケメリン受容体の機能を解析し、さらに、他のアディポカインとの関係を明確とすることを目標としている。申請当時の研究計画および目標を達成するまでの研究方法に関する内容の変更はない。
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Causes of Carryover |
2014年度の研究予算の残額が9円となっている理由は、予定していた消耗品などの価格の変動などにより生じたものである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2014年度の残額、9円で購入可能な実験用品が無かったため、2015年度の予算と合わせて実験に必要な用品を購入する予定である。
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