2015 Fiscal Year Research-status Report
一塩基多型解析による犬の潜在精巣関連遺伝子の変異探索と遺伝子診断法の確立
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26850202
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
小林 正典 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 講師 (80600428)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 犬 / 一塩基多型 / 潜在精巣 / RXFP2 |
Outline of Annual Research Achievements |
潜在精巣は、片側または両側の精巣が陰嚢内に下降せず、腹腔内または鼠径部に停留する疾患であり、雄犬の数パーセントが罹患する。発症には遺伝(劣性または多遺伝子性)が関与することが報告されているが、その遺伝的背景についての詳細は明らかにされていない。Relaxin/insulin-like family peptide receptor 2 (Rxfp2) は18個のエクソンからなる遺伝子(DNA全長は約60,000 bp)であり、腎臓直下に形成された精巣を下降させる際に重要な役割を果たしている。マウスにおいて、Rxfp2の遺伝子変異(点変異)が潜在精巣を引き起こす事が報告されている。 本研究では、正常な位置(陰嚢内)に精巣を持つ健常犬(n = 6)と潜在精巣罹患犬(n = 6)間の一塩基多型(SNPs)の比較により、潜在精巣の発症に関連する遺伝子変異を同定することが目的である。本年度は準備の整った、エクソン3からイントロン4、エクソン13からエクソン15、イントロン16からイントロン18内に存在するSNPs変異に関して、遺伝子変異検出キット(SURVEYOR, Transgenomic社)を用い、アガロースゲル電気泳動にてDNA切断断片解析を行い、潜在精巣の発症に関連しうるSNPの有無についてスクリーニング解析を実施した。結果として、健常犬と潜在精巣罹患犬のDNA切断断片に大きな違いは認められなかった。従って、これらの領域に潜在精巣と関連すると考えられるSNPsは存在しないことが推察される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度に実施したRXFP2遺伝子の各領域におけるSNPsの網羅的スクリーニングにより、潜在精巣の発症に関連するSNPsは得られなかったが、SNPs解析については予定通りに進んでいる。次年度については、前年度および今年度に実施出来なかったエクソン2からイントロン2、エクソン5からエクソン6、エクソン9からエクソン12についてRxfp2遺伝子の変異解析を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
Rxfp2遺伝子に潜在精巣に関連するSNPs変異が存在しない場合は、精巣のライディッヒ細胞より分泌され、Rxfp2と同様に精巣下降に関わると考えられている、RXFP2のリガンドであるInsulin-like peptide 3についても解析することを考慮する。
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Causes of Carryover |
PCR用試薬およびSNPs変異検出試薬の購入を予定していたが、想定よりも使用量が少なかったことから、本年度内での購入は不要であった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の予算にて、SNPs変位検出試薬ならびにPCR用試薬、電気泳動試薬の購入を計画している。
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