2014 Fiscal Year Research-status Report
中脳黒質網様部アストロサイトに発現するD1ドーパミン受容体の生理的意義
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26860143
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
長友 克広 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30542568)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 黒質網様部 / ドーパミン受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、黒質網様部アストロサイトに発現するD1ドーパミン受容体(D1R)の生理学的意義を、脳スライスを用いた電気生理実験およびコンディショナルノックアウトマウスを作成することによって検討しようという研究である。 H26年度に予定していた脳スライスを用いた電気生理では、ドーパミンを検出するために用いるカーボンナノチューブを使用した微小ドーパミン電極を安定して作成することができておらず、現在までのところ、視床下核からの電気刺激を効率よく行えているか確認を取れていない。黒質網様部でのドーパミンの放出が本研究の核心となるため、この段階をクリアせず、研究を進めることはできないと考えている。 一方、新型の脳スライスのリカバー装置・脳スライス電気生理記録チェンバーについては設計図が年度末に近いところでの完成となったため、装置の作製から納入までが遅れている。いずれも近日中に納入となる。 また以下2点の不測の事態により、D1ドーパミン受容体のコンディショナルノックアウトマウスの作成が遅れている。(1) 所属機関付属動物実験施設が取り壊し、もしくは段階的増改築を行うという話があり、認可された場合はH27年度から工事が開始する旨、通達があったため、予定していた凍結精子の購入のタイミングが取れなかった。(2) 購入した凍結精子の移送中に液体窒素がタンクより漏出し、サンプルが室温に晒されてしまい人工授精に使用できなくなった。この点に関しては、人工授精を行っていただくことになっている委託業者と協議中である。 しかしながら、D1受容体の発現解析の対照として行った実験では、予想し得なかった結果を得ることができている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在、この研究課題の基礎となっている研究の論文を執筆している。執筆中の論文では、黒質網様部アストロサイトに発現するD1受容体の生理的機能には踏み込んでおらず、本研究課題で生理学的意義の検討を行っている。D1受容体の対照として行った発現解析からD2受容体に関して重要な知見が得られている。 また黒質網様部GABAニューロンに分子Xの発現を指標にすると2割程度でサブポピュレーションが存在すると示唆される結果が得られている。GABAニューロンに関しては、本研究課題で自発発火頻度を指標にして研究を進めることになっているが、サブポピュレーションの存在に関しては、今後、解析過程で考慮する必要が出てくる。 D1受容体コンディショナルノックアウトマウスに関しては、上記2点の通り、不測の事態により、個体作製に至っていない。凍結精子購入費および凍結精子輸送費に関して資金面に関する協議も行っており、早急に個体作製を進めていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
新型の脳スライスのリカバー装置・脳スライス電気生理記録チェンバーについては、近日中に納入されることになっているため、新型チェンバーに変更し、電気生理実験および薬理実験を行う。カーボンナノチューブを使用した微小ドーパミン電極に関しては、カーボン電極によるアンペロメトリーに変更することを視野に入れており、カーボン電極を使用している研究者の方に実験手法を教授していただく予定である。黒質網様部でのドーパミン放出過程が重要であると上記したが、研究の進捗を考慮すると、二次的に、ドーパミンニューロンの自発発火抑制を指標に、視床下核の刺激強度を決める必要があると考えられる。 コンディショナルノックアウトマウスの凍結精子に関しては、委託業者とトラブルに関して、二度と起こらないようにするための対策をどのように行うべきなのか連絡を取りつつ、人工授精を開始して、固体作製を行ってもらう。また付属動物実験施設に関しては、動物実験施設のワーキンググループに参加することで、実験が滞らないように(数年間動物が使用できなくならないように)要望を積極的に出している。さらに現在の実験動物施設では、アデノ随伴ウイルスを使用できる部屋が限られており、他の研究者との兼ね合いで使用できない可能性もあるが、たとえ研究期間が終了しても、どうにか動物実験が続けられるようにアプローチしていく。
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Causes of Carryover |
新設計の脳スライス回復チャンバーと記録チャンバーにつき、作製がやや年度末にかかり、納品が遅れているため(10万円x2台相当)。新設計チャンバーの納品が遅れている理由は、年度末の繁忙期にかかったためと考えられる。また、不測の事態による凍結精子の室温融解に伴い、マウス個体作成にかかる経費執行がストップしているため(27万円相当)。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
チャンバー製作費執行については4月中を目処にしている。またマウス個体作成に関しては、再度凍結精子を入手し、早急に個体作成を実施する。本件に関して、現在、委託業者と協議中であり、会社としてどのような対策を取ることが出来るのかなどを含めて連絡を取り合っている。
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[Journal Article] Singular localization of sodium channel β4 subunit in unmyelinated fibres and its role in the striatum.2014
Author(s)
Miyazaki H, Oyama F, Inoue R, Aosaki T, Abe T, Kiyonari H, Kino Y, Kurosawa M, Shimizu J, Ogiwara I, Yamakawa K, Koshimizu Y, Fujiyama F, Kaneko T, Shimizu H, Nagatomo K, Yamada K, Shimogori T, Hattori N, Miura M, Nukina N.
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 5
Pages: 5525
DOI
Peer Reviewed
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