2014 Fiscal Year Research-status Report
肺癌の発生・進展における癌間質での新たなマイクロRNAの異常発現と機能の解析
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26860248
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
森田 茂樹 帝京大学, 医学部, 助教 (30707021)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | microRNA / 肺癌 / 間質 / マイクロダイセクション / in situ hybridization |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,手術切除標本を用いて肺癌間質でのmicroRNAの発現異常を検討するため、以下の検討を行った。 1.症例収集と整理:本研究に合わせ、2001~2013年にかけて帝京大学医学部付属病院で、手術された肺癌症例のうち腺癌192例、扁平上皮癌48例を整理し、ティシュ―アレイを構築、免疫組織化学(IHC)的検索及びin situ hybridization(ISH)に供した。同時に組織型の再評価や臨床病理学的情報の取得も並行進めている。また、凍結保存検体は15例を採取し、症例を選別した後に以降の検索に用いた. 2.非腫瘍部及び腫瘍部の間質の分取:上記凍結検体のうち、混合型腺癌(浸潤癌)における非腫瘍部、癌部(非浸潤部及び浸潤部)の間質をレーザーマイクロダイセクションで分取し、RNAの抽出を行った。 3.マイクロアレイを用いた新たなmicroRNA候補の選定:凍結検体から分取されたRNAのうち比較的品質の良かった3例を混合し、非浸潤部と浸潤部のmicroRNAに対してマイクロアレイ解析を行った。また、肺癌間質由来の線維芽細胞株にTGF-βを作用させた群とコントロール群から抽出したmicroRNAについても同様にマイクロアレイ解析を行った。現在、文献からの情報を合わせて約2000種類の中から候補microRNAを10種類程度に絞り込む作業に着手したところである。今後はFFPEからの分取したRNAも合わせて、定量的real time PCRでの解析を進める予定である。 4.microRNA ISH及びIHC:文献でのCancer associated fibroblast(CAF)での発現異常が確認されているmiR-21、143、145、93、106b、210に対して、ISHの条件検討を行い、主に腺癌でのティシュ―アレイを用いて発現を確認した。miR-21、106b、210では線維芽細胞での発現が確認された。また、CAFで発現が見られるマーカー(α-SMA、vimentinなど)やp53、MIB-1などのIHCも同一症例で行っており、今後は臨床病理学的な情報と合わせて解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ダイセクションにより採取されるRNAの量及び品質を確保するのに時間がかかったため、real time PCRやISHでの検討をこれから行う必要があるが、解析に必要な対象症例の選定はほぼ完了しており、ティシュ―アレイを用いることで時間の短縮も可能と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
1.microRNAのマイクロアレイの測定結果をもとに、文献からの情報を合わせて約2000種類の中から候補microRNAを10種類程度に絞り込む作業を行っていく予定である。また、FFPEからの分取したRNAも合わせて、定量的real time PCRを用いた対象となるmicroRNAの発現確認を行う。2,3種類のmicroRNAに絞り込んだのち、ISHでの検討も進めていく予定である。 2.現在までに施行したISH及びIHCについては、臨床病理学的因子と合わせて解析を行う。具体的には喫煙歴、性別年齢、既往症、予後、Epidermal growth factor receptor (EGFR) 遺伝子変異などとの関係性を検討する。 3.microRNA標的遺伝子の同定:microRNAは標的とするmRNAを抑制することにより作用を発揮するので,その標的遺伝子の同定は重要である。利用可能な公開標的遺伝子データベースを複数、比較及び統合して検討する。その後、細胞株での遺伝子発現変動や標的候補に対応するタンパクの免疫組織化学で絞り込み行っていく予定である。最終的には凍結検体でのmRNA発現や細胞株の強制発現系、発現抑制系での変動を合わせて評価し、標的遺伝子を同定することを目標とする。
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