2015 Fiscal Year Annual Research Report
宿主細胞内カルシウムシグナルを標的としたウイルス感染抑制法開発にむけた基盤的研究
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26860254
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤岡 容一朗 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70597492)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | エンドサイトーシス / インフルエンザウイルス / カルシウム / イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
ウイルス感染症は科学技術が進歩した現代においても人類の脅威であり、特にインフルエンザウイルスは現行の対抗策では限界を迎えることが危惧されている。インフルエンザウイルスは宿主細胞の核内におけるRNA複製の際に高頻度で変異を獲得するため、抗ウイルス薬に耐性を有するウイルスの出現が問題となっている。そこで、我々はインフルエンザウイルスの細胞侵入経路を標的とした創薬を目指し、研究を行っている。 これまでに、我々はインフルエンザウイルスが細胞内のカルシウム濃度上昇を介して、細胞内シグナル伝達ネットワークを活性化し、エンドサイトーシスを亢進すること、および亢進したエンドサイトーシスに乗じてウイルスが細胞内に取り込まれることを報告している。しかし、インフルエンザウイルスが細胞内カルシウム濃度を上昇させるメカニズムは未知であった。そこで本研究ではウイルス感染時の細胞内カルシウムダイナミクスを詳細に解析することで、その解明を目指した。高速イメージングを用いた観察の結果、ウイルスが吸着した部位の付近で局所的に一過的なカルシウム上昇が生じることが明らかとなった。また、インフルエンザウイルスが細胞に吸着することが細胞内カルシウム濃度の上昇に重要であることが明らかとなった。以上から、インフルエンザウイルスタンパク質と結合する細胞膜局在タンパク質を探索したところ、細胞内カルシウム濃度の制御に関与する膜タンパク質が同定された。さらに、この膜タンパク質を発現抑制するとインフルエンザウイルス感染が著しく阻害された。したがって、この膜タンパク質がインフルエンザウイルス感染に鍵となるの受容体タンパク質であると考えられる。現在は、この膜タンパク質とインフルエンザウイルスタンパク質との詳細な結合様式を解析中である。
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[Journal Article] A role of the sphingosine-1-phosphate (S1P)-S1P receptor 2 pathway in Epithelial Defense Against Cancer (EDAC).2016
Author(s)
S. Yamamoto, Y. Yako, Y. Fujioka, M. Kajita, T. Kameyama, S. Kon, S. Ishikawa, Y. Ohba, Y. Ohno, A. Kihara, and Y. Fujita.
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Journal Title
Mol. Biol. Cell
Volume: 27
Pages: 491-499
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Receptor activator of NF-κB ligand induces cell adhesion and integrin α2 expression via NF-κB in head and neck cancers.2016
Author(s)
T. Yamada, M. Tsuda, T. Wagatsuma, Y. Fujioka, M. Fujioka, A.O. Satoh, K. Horiuchi, S. Nishide, A. Nanbo, Y. Totsuka, H. Haga, S. Tanaka, M. Shindoh, and Y. Ohba.
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Journal Title
Sci. Rep.
Volume: 6
Pages: 23545
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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