2014 Fiscal Year Research-status Report
機能強化型間葉系間質細胞を用いた細胞移植治療法開発の基盤研究
Project/Area Number |
26860273
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
笠原 優子 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 遺伝子疾患治療研究部, 科研費研究員 (90391911)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 細胞移植 / 筋ジストロフィー / 疾患モデル動物 / 炎症 / 抗炎症性サイトカイン / IL-10 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、間葉系間質細胞 (Multipotent mesenchymal stromal cells:MSCs)は「免疫抑制能」と「多分化能」を有し、細胞性医薬品として臨床応用が注目されている。これまでに、研究代表者らは筋分化誘導操作を行ったMSCsを用いて、筋ジストロフィー犬への移植条件の確立に成功している(Kasahara et al., 2012)。しかし、治療効果を得るためには、炎症の鎮静化が必要だと考えた。そこで本課題ではまず、抗炎症性サイトカインIL-10を欠損することにより慢性炎症を伴うことが予想される筋ジストロフィーマウス(IL-10-/-/mdx) 系統を樹立して、炎症反応によって助長される筋組織傷害および機能障害を明確にすることを目的とした。その上で、抗炎症作用を示すMSCsを作製し、炎症制御療法の可能性を検討する。 IL-10-/-/mdxはmdxと比べて筋組織中の炎症性M1マクロファージの浸潤が増強し、炎症セイサイトカイン・ケモカインIL-1α, IL-1β, RANTES, M-CSF, MIG, IL-6の発現が増加していた。横隔膜は病理学的解析においてはmdxと同等の強い線維化を認めたが、心筋においては、より進行した線維化や拡張型心筋症の病理所見を認めた。さらに呼吸循環機能解析において、IL-10-/-/mdx は安静時期の換気量や左室内径短縮率 (%FS) が低下していた。IL-10を欠損することで、mdxマウスの筋組織障害や呼吸循環機能障害が重症化したことから、炎症がDMDの病態を重篤化する重要な要因であることが示唆された。 以上の結果より、今後IL-10の抗炎症効果を応用した新たな治療技術の開発が期待された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DMDに対するステロイド療法が着目されているが、従来、炎症と病態との関係の解析は十分ではなかった。抗炎症性サイトカインIL-10を欠損したmdxマウスの作出と病態解析を行い、炎症素因による重症化を証明した。今後、抗炎症療法開発や免疫寛容誘導遺伝子治療への応用が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果より、筋ジストロフィーにおいて炎症素因による重症化が証明されたことから、今後さらに炎症を標的とした抗炎症療法開発が重要であると考えられる。そこで次年度より、IL-10欠損mdxマウスを用いてMSCsの「抗炎症効果」を示す最適な細胞移植条件を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画に沿って必要な物品を購入し、計画通りの研究を遂行することが可能であった。本年度は3751円が未使用となったが、この価格ではこれ以上必要な物品は購入できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度の残高3751円は、来年度分と合算して必要な消耗品の購入に充てる予定である。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] DOK7 Gene Therapy Benefits Mouse Models of Diseases Characterized by Defects in the Neuromuscular Junction.2014
Author(s)
Sumimasa Arimura, Takashi Okada, Tohru Tezuka, Tomoko Chiyo, Yuko Kasahara, Toshiro Yoshimura, Masakatsu Motomura, Nobuaki Yoshida, David Beeson, Shin’ichi Takeda, Yuji Yamanashi.
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Journal Title
Science
Volume: 345
Pages: 1505-1508
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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