2015 Fiscal Year Research-status Report
情動的共感に対するコミュニケーション技術学習プログラムの有効性の検討
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26860350
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
藤森 麻衣子 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 自殺総合対策推進センター, 室長 (40450572)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 共感 / 情動 / 認知 / 行動 / 生理 / コミュニケーション / 精神腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
治癒不能のがん告知をはじめとする悪い知らせを伝えられる面談において、がん患者は医師に対して共感的対応を求めている。その一方で、医師は患者に共感を示すことを難しいと感じており、また教育も十分ではない。そこで申請者は、医師を対象としたコミュニケーション技術学習プログラムを開発し、無作為化比較紙面により認知的・行動的共感への有効性を示したが、情動的共感の評価は行われていない。そこで本研究の目的は、医師の情動的共感を認知、行動、生理的に評価することである。 本年度は、昨年度に引き続き、患者が負の情動を表出している際の医師の生理反応が医師の情動的共感の指標として妥当か否かを検討することを目的とし、がん医療に携わる医師を対象に、模擬面接場面を設定し、患者が負の情動を表出している最中の医師の心拍変動、皮膚電気抵抗を測定した。その後医師に対して、患者の情動、自身の情動についてそれぞれ怒り、恐怖、悲しみ、嫌悪、驚き、喜びの強さの評定を求めた。生理指標と各情動への評定値の間の相関分析を行った。 その結果、心拍変動と皮膚コンダクタンス水準と各情動への評定値の間に相関関係は認められなかった。一方で、皮膚コンダクタンス反応と医師の悲しみに対する評定値の間に正の相関関係が認められた。 以上の結果から、患者が苦痛を表出している際に、皮膚コンダクタンス反応が高い医師は、自らの情動として悲しみを強く知覚する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
患者が情動表出している最中の医師の生理反応が医師の情動的共感の測定指標として妥当か否かを検討することであった。結果として、皮膚コンダクタンス反応と知覚された自らの情動の強度の間に正の相関関係が認められた。 以上から、本研究はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は論文化を実施する。さらに医師に対する介入前後の共感の変容可能性を検討する。
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Causes of Carryover |
データ整理の予定がずれたため人件費・謝金の支出がなかったこと、学会発表が招待となったために旅費が少なくなったことにより繰り越しが生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度はデータ整理のための謝金、成果報告のための旅費、および論文の英文校正、投稿費用として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Presentation] SHARE Model in Japan2015
Author(s)
Maiko Fujimori
Organizer
3th Taiwan Psychooncology Conference
Place of Presentation
Taipei medicinal University, Taipei, Taiwan
Year and Date
2015-10-23 – 2015-10-24
Int'l Joint Research / Invited