2014 Fiscal Year Research-status Report
依存性薬物感受性・依存症脆弱性個人差におけるゲノムワイドコピー数多型・変異解析
Project/Area Number |
26860360
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
西澤 大輔 公益財団法人東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, 主任研究員 (80450584)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 薬物依存 / 薬物感受性 / 薬物感受性・依存症脆弱性個人差の遺伝要因 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルコール、ニコチン、覚せい剤等の依存性薬物の感受性には個人差があり、依存症脆弱性個人差の原因ともなり得る。報酬効果に関与する神経伝達系としてはオピオイド系が重要であるが、研究代表者らはこれまで、世界初のオピオイド鎮痛薬感受性に対する探索的なゲノムワイド関連解析研究を行い、rs2952768多型を含む2q33.3-2q34領域の遺伝子多型において、オピオイド感受性との強い関連を見出した。しかしながら、一塩基多型以外のゲノム上の構造多型のオピオイド等の依存性物質の感受性との関連は明らかになっていない。そこで本研究においては、代表的な構造多型であるコピー数多型を中心とした網羅的解析を行って新規の依存性薬物感受性・薬物依存症脆弱性関連構造多型・変異を同定して個人差の原因となるメカニズムを究明する。 当該年度においては、対象サンプルの収集及び解析準備を行った。 サンプル収集に関しては、研究代表者の所属研究室で以前より収集されていた、下顎形成外科手術時にオピオイド鎮痛薬を投与された15-60歳の患者の(術中鎮痛としてレミフェンタニルが用いられた)サンプルが引き続き収集され、当該年度末までに合計約270例以上となった。 また、CNV解析においては通常のゲノム解析用のGenomeStudio以外にCNV解析に特化したcnvPartition等の特殊なソフトウェアが必要になるので、それを準備し、下顎形成外科手術時にオピオイド鎮痛薬を投与された15-60歳の患者の(術中鎮痛としてフェンタニルが用いられた)サンプルを6サンプルほど用いて予備解析を行ったところ、様々なコピー数の変異がゲノム全体で数十箇所程度同定され、解析を問題無く遂行することが可能であることが確認された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度の研究において、サンプル収集はほぼ予定通り進行し、CNV解析用ソフトウェアを用いた予備解析もほぼ完了したが、多数のサンプルを用いた詳細な本解析を行うまでに至らなかったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、当該年度までの研究において行っていたサンプル収集を引き続き行う。 また、下顎形成外科手術時にオピオイド鎮痛薬を投与された15-60歳の患者のサンプル中のオピオイド高感受性またはオピオイド低感受性であることが示唆されるサンプルに関する全ゲノムジェノタイピングを行い、オピオイド感受性に関連するCNVを同定する。比較的頻度の高いCNVに対しては、commonな一塩基多型などの場合と同様に、鎮痛薬・疼痛感受性の指標となる臨床データを用いて関連解析(個別多型・ハプロタイプ等)を行う。これらの解析において有意な関連が見出されたCNVに関しては、文献検索及びリアルタイム定量PCR(qPCR)による追加解析等を含めた詳細な検討を行い、最有力候補構造多型・変異(最もcausativeと考えられるCNV及びその遺伝子)を同定する。
|
Causes of Carryover |
基本的には当初の研究期間内に全額を使用すべく計画的に執行したが、年度末近くになっても実験が引き続いており、本年度達成できなかった実験及び解析を次年度に行うこととなった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費(実験用試薬及びプラスチック製品等)、旅費(研究成果発表目的の国内外旅費及び研究打合せ目的の出張費等)、その他等(印刷費及び研究成果発表費用(論文校閲・別刷費用)等)に対して使用予定である。
|
-
-
-
[Journal Article] Association between KCNJ6 (GIRK2) gene polymorphism rs2835859 and post-operative analgesia, pain sensitivity, and nicotine dependence2014
Author(s)
Nishizawa D, Fukuda K, Kasai S, Ogai Y, Hasegawa J, Sato N, Yamada H, Tanioka F, Sugimura H, Hayashida M, Ikeda K
-
Journal Title
J Pharmacol Sci
Volume: 126
Pages: 253-263
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
[Presentation] ゲノムワイド関連解析によるオレキシン2受容体遺伝子多型Val308Ileとニコチン依存との関連の同定2014
Author(s)
西澤大輔, 笠井慎也, 佐藤直美, 谷岡書彦, 長島誠, 氏家寛, 橋本亮太, 田中雅嗣, 椙村春彦, 池田和隆
Organizer
平成26年度アルコール・薬物依存関連学会合同学術総会
Place of Presentation
パシフィコ横浜, 横浜
Year and Date
2014-10-03
-
[Presentation] PCLO SNP rs13438494 regulates DA and 5-HT uptake, accompanied with splicing efficiency and dependence-like behaviors in genomic association studies2014
Author(s)
Uno K, Nishizawa D, Seo S, Sasaki N, Ohi K, Nabeshima T, Hashimoto R, Ozaki N, Ikeda K, Miyamoto Y, Nitta A
Organizer
29th CINP World Congress of Neuropsychopharmacology
Place of Presentation
Vancouver, Canada
Year and Date
2014-06-24
-
[Presentation] Associations of an orexin (hypocretin) receptor 2 gene polymorphism with nicotine dependence found in genome-wide and following association studies2014
Author(s)
Nishizawa D, Kasai S, Hasegawa J, Sato N, Tanioka F, Nagashima M, Ujike H, Hashimoto R, Tanaka M, Sugimura H, Ikeda K
Organizer
29th CINP World Congress of Neuropsychopharmacology
Place of Presentation
Vancouver, Canada
Year and Date
2014-06-23
-
-