2014 Fiscal Year Research-status Report
中性子捕捉療法のためのリアルタイム線量測定システムの研究開発
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26860410
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
中村 哲志 独立行政法人国立がん研究センター, 中央病院, 医学物理士 (20638374)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ホウ素中性子捕捉療法(BNCT) / 中性子 / 捕捉断面積 / ホウ素濃度 / 腫瘍線量 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的の「中性子捕捉療法による治癒率向上と治療余語改善を目指し、中性子捕捉療法での腫瘍への線量をリアルタイムに観測するシステムの開発する」実施するために、今年度はモンテカルロシミュレーションによる計算や文献の精査により、リアルタイムでの腫瘍への線量を確認する手法の検討を行った。 モンテカルロシミュレーション「PHTIS」において、国立がん研究センター中央病院に導入予定のホウ素中性子捕捉療法のための照射装置を再現した。ファントムによる模擬照射体系を形成して、リアルタイムでの測定の可能性を検討するため、リアルタイム測定に必要な信号とホウ素濃度の関係を取得した。実際に治療効果が得られる程度の腫瘍のホウ素濃度である30 ppmの信号強度は、0 ppmの場合に測定される信号強度に不確かさを考慮しても、2つの信号強度を弁別できる強度が取得された。また、得られた信号は、ホウ素濃度に依存して変化する結果が得られた。 また、腫瘍線量を決定する際に必要なホウ素の断面積の情報が、National Nuclear Data Centerにある核データでは、国立がん研究センター中央病院に導入予定の照射装置において一番フルエンスが多いエネルギー帯である10 keV近傍の断面積データが測定されていなかった。そのため、正確な腫瘍線量を決定するためには、このエネルギー近傍での断面積の測定が必要であることがわかった。そのため、ホウ素の断面積測定法の検討やその測定を行うことにより、リアルタイムでの腫瘍への線量を確認する手法の不確かさを低減させていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
使用予定の検出器の作成は、JSTで行っている研究とともに進めている。 ホウ素濃度の集積差による測定予定の信号強度の変化もモンテカルロシミュレーションにおいて観察することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要にも書いたように、腫瘍線量を決定する際に必要なホウ素の断面積の情報が公開しているNational Nuclear Data Centerにある核データでは、国立がん研究センター中央病院に導入予定の照射装置において一番フルエンスが多い熱外中性子(10 keV)近傍の断面積データが測定されていなかった。そのため、正確な腫瘍線量を決定するためには、このエネルギー近傍での断面積の測定が必要であることがわかった。そのため、ホウ素の断面積測定法の検討やその測定を行うことにより、リアルタイムでの腫瘍への線量を確認する手法の不確かさを低減させていく。
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Causes of Carryover |
昨年度は、モンテカルロシミュレーションによりリアルタイムでの腫瘍線量の測定の可能性について検討していて、既存の機械を使用して計算したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
シミュレーションにより、今年度から実施予定のホウ素の断面積の測定法について検討を行う。そのために、計算機を購入予定である。また、断面積の測定に使用予定の測定装置の作成費用や、購入・運用費用に支出する予定である。
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