2014 Fiscal Year Research-status Report
チリ胆嚢がん患者の予後規定因子および本症発生に関与する遺伝要因の解明
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26860423
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
浅井 孝夫 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 助教 (60612736)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 胆嚢がん / 遺伝要因 / 遺伝子多型 / 予後規定因子 / 国際情報交換 / チリ |
Outline of Annual Research Achievements |
胆嚢がんは世界的に比較的稀な悪性腫瘍であるが、早期診断が難しいことから、5年生存率が低く、予後も悪い。本研究では、胆嚢がん多発国チリにおいて、本症患者のがん関連SNPを網羅的に解析することにより、患者の予後を規定する因子を明らかにすることを研究目的としている。また、胆石症患者に対し同じSNP解析を行い、胆嚢がん患者と比較することで、胆嚢がん発生に関与する遺伝要因を明らかにすることも目的である。
平成26年度は、研究打合せ、試料の収集、病理組織学的観察を行った。まず、チリ・サンティアゴのSotero del Rio病院を訪問し、研究計画を確認した。同病院とは従来より協力関係にあり、本研究にあたっても副院長ら研究協力者より快く協力の了承を得た。同病院では消化器治療が盛んなことから多くの胆嚢がん患者組織が集まり、この時点で274症例の胆嚢がん患者のパラフィン包埋組織標本(FFPEブロック)を収集することができた。日本においてこれだけの胆嚢がんの症例数を確保することは非常に困難であり、貴重なサンプルを多数得られたことは大変意義深いと考えられる。また、この後も引き続いてさらに症例数を増やせるよう追加で標本を集めていくことを確認した。FFPEブロックは日本・新潟医療福祉大学に搬送したうえで、薄切、HE染色を行い観察した。その結果、多くのサンプルではがん部組織が大部分を占めており、非がん部組織を選択的に切り出し、回収することは容易ではないと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度としての計画通り、研究打合せ、試料の収集、病理組織学的観察を実施した。試料の目標数は300症例としているのに対し、274症例と目標数に近い試料をすでに収集した。
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Strategy for Future Research Activity |
FFPEブロックの薄切切片からDNAを抽出し、Cancer SNP Panel(イルミナ社)によるSNPジェノタイピング解析を行う。 この際、非がん部組織選択的なDNA抽出には困難が伴うと想定されるが、実現できなかった場合には解析方法を工夫することで対応を検討する。 また、症例数が追加される場合には、チリへ渡航し試料を収集するか、研究協力者によってチリから日本へ試料を搬送することを計画している。
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Causes of Carryover |
本研究の遂行にあたり購入を計画していた物品のうち、研究代表者の所属研究施設に設置されているものを活用した結果、物品費の使用が抑えられた。また研究協力者への謝金については、これまでの協力関係から特に必要とされなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は、FFPEブロックからのDNA抽出にあたり、DNA抽出用試薬を中心とした消耗品費および実験補助のため人件費が必要となる。また、Cancer SNP Panel(イルミナ社)を用いたSNPジェノタイピング解析は、検査機関に解析を委託するため、解析する検体数に応じた委託費が必要となる。ほかに、症例数追加のためチリへの渡航費が必要となる場合がある。
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