2014 Fiscal Year Research-status Report
多面的転写プロファイリングを用いた心臓リモデリング関連因子探索と治療応用への試み
Project/Area Number |
26860558
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
肥後 修一朗 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00604034)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 心不全 / トランスオミクス / 線維芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、高速シークエンサーを用いた解析系を、心血管病態研究へ応用することである。具体的には、従来の転写発現解析に加え、次元の異なる指標としてエピゲノムマッピングによるオミクス解析を行うことで、心不全・心臓リモデリング進行過程における病態分子の探索を行うことを試みてきた。前年度までの助成事業において、マウス圧負荷心不全マウス心臓組織を用いたRNAシークエンス解析、活性化エピゲノムマークの定量解析により、我々は心不全病態において過去に報告がない転写因子を見出し、その機能解析を継続した。特異的抗体を用いた組織・細胞染色実験により、本因子は心臓組織において心筋細胞ではなく間質の線維芽細胞において発現していることが明らかとなった。心不全進行に伴い本因子の発現は増加すること、培養細胞を用いた実験により、心筋細胞からの傍分泌因子によってその発現が誘導されることが明らかとなった。ノックダウン実験により、心筋細胞からの傍分泌に対する線維芽細胞の反応性増殖が抑制されることから、心不全進行過程における間質線維芽細胞の増殖に本因子が関与していることが予想され、遺伝子改変動物を用いた解析を更に進めている。更に、心不全進行における重要な要素である心筋細胞の肥大メカニズムに対しても、オミクス解析によるアプローチを試みている。心筋肥大に関わる癌遺伝子c-Mycに着目し、その結合部位の心筋細胞における網羅的解析、およびRNAポリメラーゼの動態解析が現在進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究初年度の目的として、マウス心臓組織における活性化エピゲノム定量化法の確立、エピゲノムプロファイルを指標とした心疾患病態関連遺伝子の層別化を掲げた。現時点でin silico解析系の構築、解析対象となる病態分子の同定に成功しており、当初目的に対して概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
オミクス解析によって見出した分子の機能について、培養細胞および遺伝子改変動物を用いて更に解析を進める。同時に、これまでに構築した高速シークエンサーを用いたオミクス解析系を、心臓リモデリング過程だけでなく、心筋細胞肥大メカニズム解析にも応用し、多角的に研究を推進する。
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Causes of Carryover |
オミクス解析による分子探索の段階が概ね終了し、本年度は主にその成果の学会発表(国内、海外)、論文作成を行った。本年度研究においては、当初予定に比べ物品費の使用が少なかったことが、次年度使用額が生じた理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
遺伝子改変動物の作成が進行しており、平成27年度より病態モデルを用いた解析を行う予定である。引き続き、次年度においても物品費、旅費、その他費用としての使用を計画している。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Higd1a is a positive regulator of cytochrome c oxidase2015
Author(s)
Hayashi T, Asano Y, Shintani Y, Aoyama H, Kioka H, Tsukamoto O, Hikita M, Shinzawa-Itoh K, Takafuji K, Higo S, Kato H, Yamazaki S, Matsuoka K, Nakano A, Asanuma H, Asakura M, Minamino T, Goto Y, Ogura T, Kitakaze M, Komuro I, Sakata Y, Tsukihara T, Yoshikawa S, Takashima S.
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Journal Title
Proc Natl Acad Sci U S A.
Volume: 112
Pages: 1553-1558
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Augmented AMPK activity inhibits cell migration by phosphorylating the novel substrate Pdlim52015
Author(s)
Yan Y, Tsukamoto O, Nakano A, Kato H, Kioka H, Ito N, Higo S, Yamazaki S, Shintani Y, Matsuoka K, Liao Y, Asanuma H, Asakura M, Takafuji K, Minamino T, Asano Y, Kitakaze M, Takashima S.
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Journal Title
Nat Commun.
Volume: 30
Pages: 6137
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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