2014 Fiscal Year Research-status Report
閉塞性細気管支炎における筋線維芽細胞の役割とその制御機構の解明
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26860604
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
高戸 葉月 金沢大学, 大学病院, 医員 (10723835)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 閉塞性細気管支炎 / 原因と治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、閉塞性細気管支炎(Bronchiolitis obliterans, BO)に対する治療標的を同定するために、マウスBOモデルを用いた研究を行ってきた。同モデルでは傷害期(day1~7)、炎症期(day 7~14)、リモデリング期(day 14~28)を経て完全な気道閉塞に至る。我々は、リモデリング期の筋線維芽細胞の増殖を抑えることによりBOの進行を止めることが可能になると考えた。本研究の目標は、imatinib投与でも抑えきれない筋線維芽細胞の増殖に重要なシグナルを検証することである。しかし、imatinibが気道閉塞を抑えるメカニズムが明らかでないため、まずはimatinibの治療標的を探索するため以下の実験を開始した。 ●BOの気道閉塞を抑えるには、imatinibを移植早期より投与開始する必要がある。Allograftにimatinib 10mg/kg(day 1~28)を投与しday 28で評価したところ、vehicle投与群に比べてimatinib投与群で気道閉塞が有意に抑えられた。しかし、imatinib10mg/kgをリモデリング期(day 15~28)に投与したところ、気道閉塞率はvehicle群と差がなかった。BOモデルにおいて気道閉塞を抑えるには、移植直後よりimatinibを投与開始する必要があることが分かった。 ●ドナー骨髄由来前駆細胞がBOの気道閉塞に関与する 筋線維芽細胞の由来を調べるため、GFP-Tgマウスを用いてBOモデルを作成し、移植day 28で摘出した移植気管を評価した。GFP-Tgマウスの骨髄をC57BL/6-WTに移植したキメラマウスを作成し、このマウスの背部にBALB/cの気管を移植したところ、移植気管閉塞部分に浸潤した細胞はGFP陽性であった。以上より、BOモデルの気道閉塞に骨髄由来の前駆細胞(fibrocyte)が関わることが示された。
骨髄由来前駆細胞(fibrocyte)がBOモデルの気道閉塞に関与していることが判明した。Fibrocyteは移植早期に遊走されることから、現在imatinibがfibrocyteの治療標的となりうるか否かを検証中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①imatinibはBOの気道閉塞を抑える。移植早期にimatinibの治療標的が存在する。 ②BOモデルの気道閉塞に骨髄由来前駆細胞(fibrocyte)が関与している。 以上のことが明らかとなってきている。
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Strategy for Future Research Activity |
Imatinibが気道閉塞を抑えるメカニズムを明らかにする。 そのひとつとして、imatinibがfibrocyteを制御するかどうかを検証する。 骨髄由来fibrocyteがリモデリング期の筋線維芽細胞にどう関与するかを検証する。
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Causes of Carryover |
平成26年度に筋線維芽細胞の増殖シグナルを検証する予定だったが、上記のごとくimatinibの気道閉塞抑制メカニズムの検証を先に行ったため、次年度に行うことになった。それに伴う経費を繰り越しとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
未使用額は、平成27年度配分額と併せて、imatinibによるfibrocyte制御機構や筋線維芽細胞との関わりを検証するために、使用する予定である。
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