2015 Fiscal Year Annual Research Report
分子標的治療による小細胞肺癌に対する新規治療法の開発と臨床応用
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26860606
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
南 俊行 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00705113)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 小細胞肺癌 / 抗癌剤耐性 / 分子標的治療 / HER2 / EphA2 / trastuzumab / T-DM1 / dasatinib |
Outline of Annual Research Achievements |
小細胞肺癌(Small Cell Lung Cancer; SCLC)の予後を改善するには抗癌剤耐性化の克服が不可欠であるが、現在に至るまで、再発後の有効な治療法は確立されていない。本研究において、我々はHER2とEphA2の2つの受容体型チロシンキナーゼに注目して研究を行った。 HER2について、我々はこれまでにHER2陽性抗癌剤耐性SCLC細胞に対し、抗HER2抗体であるtrastuzumabが、抗腫瘍効果を発揮する事をpreclinicalに証明してきた(Mol Cancer Ther. 2012, Sci Rep. 2013)。この知見を実臨床に応用するため、生検検体の免疫染色でHER2の発現が確認できた再々発SCLCの2症例に対し、trastuzumabとirinotecanの併用療法を行った。重篤な副作用は認めず、2症例のみの治療経験であるが、いずれの症例でも良好な病勢コントロールを得る事ができ、その結果を論文化し発表した(Lung Cancer. 2015)。現在はpilot studyの準備を進めている。また、近年再発乳癌に対し保険適応となったtrastuzumab emtansine(T-DM1)のHER2陽性SCLCに対する効果を検証した。T-DM1はirinotecanの誘導体SN-38に耐性となったHER2陽性SCLCマウス皮下移植片の増殖を有意に抑制する事を見出した。本結果については、現在論文投稿準備中である。 EphA2については、siRNAでノックダウン(KD)することにより、EphA2陽性SCLC細胞の増殖が著明に抑制され、EphA2阻害剤として用いたdasatinibは、実臨床で応用可能な濃度でEphA2陽性のSCLC細胞の増殖を排他的に阻害する事を見出した。一方で、EphA2 KD細胞では、dasatinibの効果は上乗せできなかった。この事からdasatinibはmultikinase阻害剤であるものの、確かにEphA2を標的として抗腫瘍効果を発揮していると考えられた。その機序としては、senescenceによってもたらされている事を明らかとし、以上の結果を学会発表した。現在EphA2強制発現SCLC細胞を作成し、EphA2 signalのさらなる解析を行っている。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Favorable response to trastuzumab plus irinotecan combination therapy in two patients with HER2-positive relapsed small-cell lung cancer2015
Author(s)
Yuhei Kinehara, Toshiyuki Minami, Takashi Kijima, Shigenori Hoshino, Osamu Morimura, Tomoyuki Otsuka, Yoshitomo Hayama, Kiyoharu Fukushima, Yoshiko Takeuchi, Masayoshi Higashiguchi, Kotaro Miyake, Haruhiko Hirata, Izumi Nagatomo, Koji Inoue, Yoshito Takeda, Hiroshi Kida, Atsushi Kumanogoh
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Journal Title
Lung Cancer
Volume: 87
Pages: 321-325
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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