2015 Fiscal Year Research-status Report
腎臓の発生に必須なSall1蛋白のポドサイト障害からの回復期・再生期における役割
Project/Area Number |
26860648
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
細江 佳子 順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (30722764)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | ポドサイト / Sall 1 / 糸球体硬化 / ERストレス / アポトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までの研究により、Sall 1タンパクはポドサイトの分化やポドサイト障害からの回復期・再生期に重要な役割を果たすこと、具体的にはSall 1の欠損はポドサイト障害時にERストレスの増加と細胞形態・細胞骨格障害、細胞移動低下をもたらすことが明らかとなった。 ポドサイト特異的Sall 1ノックアウトマウスに糸球体硬化を引き起こすアドリアマイシンを投与すると、アドリアマイシンを投与した野生型マウスと比較し、ポドサイト数が有意に低下し、硬化糸球体数は有意に多かった。また、重要なスリット膜タンパクであるネフリンの細胞膜から細胞質への局在変化が顕著であり、Sall 1欠損による濾過障壁崩壊が示されたが、これはERストレスの増加によるものと考察された。 我々は培養ポドサイトにおいてアドリアマイシン投与により細胞骨格が変化しアポトーシスに至ることを報告している(Am J Nephrol. 2011;33(6):537-49)。本年度、pSUPER systemを用いて作成したSall 1ノックダウンポドサイトでアネキシンⅤを用いてアポトーシスの評価を行った。この結果、アドリアマイシンを投与したSall 1ノックダウンポドサイトは野生型の培養ポドサイトと比較し、早期のアポトーシス細胞、後期のアポトーシス細胞共に有意に多いことも示された。 これらの研究により、Sall 1の欠損はポドサイト障害時にERストレスの増加と細胞骨格障害からアポトーシスに至り、濾過障壁から脱落することで野生型に比し重篤な糸球体硬化をもたらすことが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究によりSall 1欠損ポドサイトが、腎障害時に野生型に比し有意に多くアポトーシスに至ることが明らかとなった。 本年度までの研究により、ポドドサイト特異的Sall 1ノックアウトマウスのアドリアマイシン腎症モデルが野生型に比し、より重篤な糸球体硬化を発症するメカニズムを詳細に示すことができたと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
来年度はこれまでの研究成果をまとめ、英文誌への投稿、学会発表などを行い、研究結果を世界に発信していきたいと考えている。
|
Causes of Carryover |
本年度は主にSall 1欠損ポドサイトが濾過障壁から脱落するメカニズムの解析として細胞死の評価を行った。このため既存のサンプルやこれまで購入した試薬で多くの研究を行うことができた。次年度使用額については、投稿した論文のリバイス実験に必要な試薬・抗体の購入、論文執筆、投稿に関わる費用に充てたいと考えている。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品:本年度までの結果をもとに、リバイス実験に必要な試薬・抗体(細胞死・ERストレス・細胞骨格関連蛋白)の購入を予定している。 人件費:論文の英文校正費を予定している。 その他:論文の印刷費を予定している。
|