2015 Fiscal Year Annual Research Report
MYH9異常症の原因遺伝子であるR702C変異による赤血球分化阻害のメカニズム
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26860725
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鈴木 伸明 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (70637686)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 赤血球文化 / MYH9異常症 / マウスモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
当グループで解析したヒトMYH9異常症の解析症例において、R702C変異を持つ症例はほかの変異を持つ症例に比較して、貧血傾向が強いことが窺われた。我々のグループは前研究において、Myh9 R702C変異を持つノックインマウスを作製し、表現型を解析、このマウスがヒトMYH9異常症の表現型を極めて忠実に再現することを報告した。本研究においては、このマウスを用いて、MYH9 R702C変異が赤血球系に与える影響を検討した。まず、末梢血所見を検討したところ、MYH9 R702Cマウスは野生型マウスと比較して、軽度の貧血症状が確認された。MYH9異常症では腎機能異常を呈するため、エリスロポエチンを測定し、腎性貧血の有無を調べたが、R702Cマウスでは野生型マウスと比較して、エリスロポエチンはむしろ上昇していた。次に一部のR702Cマウスでは網状赤血球が上昇していたため、パーパート法にて溶血性貧血のチェックをおこなったが、野生型と比較して溶血性に違いは見られなかった。 造血能評価としては骨髄と脾臓の細胞を用いて、赤芽球系細胞の評価を行った。その結果、R702Cマウスでは骨髄にて幼若な赤芽球系細胞の減少と脾臓での髄外造血の亢進を認めた。この結果から、R702C変異による異常ミオシンが赤血球分化異常を引き起こすのではないかと考え、マウスの胎児肝細胞を用いて、エリスロポエチン添加の元、培養、赤芽球系細胞の分化過程について検討した。しかしながら、このアッセイ系では野生型と比較して、明らかな違いを見出すことは出来なかった。 以上の検討から、MYH9 R702C変異は赤芽球系細胞のかなり上流の段階に影響を与えていると考えられた。
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[Presentation] A case of MYH9 disorders caused by a novel mutation (P.K74E)2015
Author(s)
Takeshi Kanematsu, Nobuaki Suzuki, Mayuko Kishimoto, Tomohiro Aoki, Mika Ogawa, Yoshitoyo Kagami, Shinji Kunishima, Hitoshi Kiyoi, Tadashi Matsushita
Organizer
International Society Thrombosis and Hemostasis 2015 Congress
Place of Presentation
トロント (カナダ)
Year and Date
2015-06-20 – 2015-06-25
Int'l Joint Research
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[Presentation] 新規変異を有するMYH9異常症の1例2015
Author(s)
兼松 毅, 鈴木 伸明, 小川 実加, 岸本 磨由子, 國島 伸治, 松下 正
Organizer
第37回日本血栓止血学会学術集会
Place of Presentation
甲府市総合市民会館 (山梨県甲府市)
Year and Date
2015-05-21 – 2015-05-23