2014 Fiscal Year Research-status Report
アトピー性皮膚炎発症機序における結合組織の役割の解明
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26860765
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
安藤 智暁 独立行政法人理化学研究所, 統合生命医科学研究センター, 研究員 (10724669)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / 線維芽細胞 / PLC-beta3 / SPS複合体 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は昨年Phospholipase C-β3(PLCb3) 欠損マウスにおいてアトピー性皮膚炎(atopic dermatitis, AD)様の皮膚炎が自然に発症し、またダニ抗原(Der f)とブドウ球菌由来毒素(SEB)塗布によるADモデルが重症化することを示した(Ando et al., Cell Reports, 2014)。これらのモデルではマスト細胞が重要であるが、マスト細胞が欠損すると皮膚でのPeriostin産生の低下が認められ、またPLCb3欠損マウス由来の線維芽細胞ではPeriostin産生の増加が見られた。本年度は、この線維芽細胞におけるStat5-PLCb3-SHP-1(SPS)複合体がアトピー性皮膚炎の発症機序に果たす役割を調べる準備を行った。1.線維芽細胞特異的なPLCb3, Stat5のTamoxifen-inducible conditional knockoutマウスの掛け合わせが進んでおり、次年度にはDer f/SEB塗布ADモデル実験が可能になる予定である。2.PLCb3欠損マウスのコロニーの増殖不良により線維芽細胞実験が滞っていたが、ゲノム編集技術の導入に成功したためin vitroでのPLCb3欠損線維芽細胞の作製が可能になった。また、Periostin産生を促すサイトカインであるIL-13がStat5の活性化を起こすことが分かり、SPS複合体がPeriostin産生に関わる可能性が明らかになった。3.SPS複合体形成を促すため、PLCb3のC末部位にTATペプチドを結合した組換えタンパク質を用いる予定であるが、その生産のためのプラスミドが完成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.Tamoxifen-inducible CKOマウスの作製は順調に進んでいる。 2.初年度予定していたSPS複合体形成の条件の検討はPLCb3欠損マウスの増殖不良のためまだ実施できていないが、ゲノム編集技術の導入に成功したためマウスコロニーの回復を待たずに次年度は実施できる予定である。 3.上記の遅れを取り戻すために、次年度予定していたTAT結合蛋白作製を本年度から前倒しで行った。
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Strategy for Future Research Activity |
1.Tamoxifen-inducible CKOマウスが完成し次第、Der f/SEB塗布ADモデル実験を行い、線維芽細胞におけるSPS複合体の各構成分子がADの発症に重要であるかを明らかにする。 2.ゲノム編集技術によりPLCb3を欠損させた線維芽細胞を用いて、SPS複合体の形成条件の検討を行う。 3.作製したTAT結合タンパクを用いて、SPS複合体形成の促進がPeriostin産生や細胞増殖に与える効果を検討する。
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Causes of Carryover |
免疫沈降実験が初年度行えなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に持ち越した免疫沈降実験等に使用する予定である。
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