2015 Fiscal Year Research-status Report
小児脳腫瘍に対するGD2特異的キメラ抗原受容体を用いた遺伝子改変T細胞療法の開発
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26860789
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
平林 耕一 信州大学, 医学部附属病院, 助教(診療) (10645534)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | GD2 / 遺伝子改変T細胞 / 併用療法 / 脳腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
1、フローサイトメトリー法を用いて腫瘍細胞株でのGD2発現の確認した。神経芽腫が4株中1株、髄芽腫が2株中2株、膠芽腫が1株中1株、網膜芽細胞腫は2株中2株、骨肉腫は3株中2株でGD2の発現を認めた。以上から、神経芽腫以外の脳腫瘍、網膜芽細胞腫、骨軟部腫瘍もGD2.CAR-T細胞療法の対象疾患になることを確認した。 2、GD2.CAR-T細胞の作製を行った。piggyBacトランスポゾン法によりGD2.CARをT細胞に導入した。遺伝子導入したT細胞を抗CD3抗体と抗CD28抗体で刺激後、7日目にselectionを行った。Selection後、2度目の抗CD3/CD28抗体刺激を行ったあと7日間さらに培養した。最終的にヒト末梢血10mlから10の7乗台のGD2.CAR-T細胞が得られた。GD2.CAR陽性率は25-60%だった。 3、GD2陽性腫瘍細胞株(神経芽腫1株、髄芽腫2株、膠芽腫1株、網膜芽細胞腫2株)とGD2.CAR-T細胞の混合培養実験を行った。effector/target cell (E/T) 比が32 : 1~1 : 8の間で多くの腫瘍細胞株の細胞数はday 1に比べday 4には減少したが、その後培養を継続すると再び腫瘍細胞数が増加した。以上の結果からGD2.CAR-T細胞は、神経芽腫以外のGD2陽性腫瘍に対して一定の効果を持つことが確認された。一方で、E/T比や長期混合培養実験の結果からは、我々が作成したGD2.CAR-T細胞単独では抗腫瘍効果が限定的であると考えられた。 4、GD2.CAR-T細胞の抗腫瘍効果を増強する方法を検討した。混合培養時に既に臨床で使用されている薬剤を添加してGD2.CAR-T細胞の抗腫瘍効果を比較した。複数の分子標的薬との併用実験を実施した。薬剤Aによって抗腫瘍効果は高まることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
GD2.CAR-T細胞が脳腫瘍に対して有効であることをin vitroで確認できた。さらにGD2.CAR-T細胞の効果を増強する併用薬剤を見出すことができた。一方で、予定していた動物実験は実施できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで行ってきた実験の結果から、現在のGD2.CAR-T細胞では劇的な抗腫瘍効果は期待できないと考えられた。より効果の高いGD2.CAR-T細胞療法を開発するためには、GD2.CAR-T細胞の作製方法の改良と併用療法の開発が必要である。また、並行してGD2以外の有望な標的抗原の探索も必要である。 GD2.CAR-T細胞の作製方法の改良として、T細胞の培養方法やCAR構造の最適化が必要である。最適な条件を決めるためには、なるべく多くの条件でCAR-T細胞を作製する必要がある。また、CAR-T細胞の抗腫瘍効果を増強する併用療法としては、がん細胞の免疫回避機構の制御およびアポトーシス誘導をもたらすような薬剤との併用をさらに検討する必要がある。
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Causes of Carryover |
当初予定していた実験において、動物実験が行えなかったため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、平成28年度請求額とあわせて、動物実験の実施に使用するとともに、それまでに得られた成果の発表に使用する計画である。
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