2016 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of right ventricle histopathology from human heart specimen of pulmonary arterial hyoertension
Project/Area Number |
26860841
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
岩朝 徹 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医師 (80712843)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 肺動脈性肺高血圧 / 右心不全 / 右室リモデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
特発性肺動脈性肺高血圧は原因は不明ながら肺の抵抗血管が細胞増殖などで進行性に狭窄・閉塞し、肺動脈圧が上昇する疾患である。治療薬たる肺血管拡張薬がようやくある程度揃いつつある現在においても、治療成績の良い施設で5年生存率が約80%と決して予後が良いとは言えない疾患である。本疾患の主たる死因は高い肺血管抵抗に抗して右室が血液を拍出できなくなる右心不全であり、右室リモデリングを如何に防止、あるいは高い肺血圧に右心室を適応させるかが重要だが、近年まで本疾患に関する研究の多くは疾患の本態である肺動脈に集中しており、右心室に着目した研究は皆無であった。 本研究では特発性肺動脈性肺高血圧で死亡した患者のヒト剖検心から得られた右心室標本をMasson-trichrome染色を用いて解析し、右室の心筋繊維が約正常3倍に肥厚し、面積比で約4倍に線維化し、小動脈が約2/3に減少していることを見いだした。この変化は心内膜側がより顕著であり、右室のエネルギー需要に対する血流供給のミスマッチが関与していると考えられた。また血行動態指標と線維化は相関せず、唯一発症から診断・死亡までの期間のみが有意に相関し、症状出現時から経時的に右室の線維化は進行すると考えられた。 この知見を元に生存している現在診療中の患者の右室を還流する右冠動脈の太さに着目して更に解析したところ、右冠動脈断面積/体表面積比は右室収縮期圧に有意に相関していたが、右室収縮期圧に見合わない細い右冠動脈を有する患者では、心不全症状・所見が強いことを見いだした。 これらから右冠動脈の発達を観察し、右心不全の予後予測を立てることが可能となると考えており、右冠動脈の状態に応じて治療の強度・速度を変えていくことで患者個々人の状況に適した治療戦略を構築することができると考えている。
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Research Products
(6 results)