2015 Fiscal Year Research-status Report
乳房外パジェット病の悪性度に対するMUC5AC発現の関与の包括的検討
Project/Area Number |
26860862
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
秦 洋郎 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90399915)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 皮膚悪性腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は皮内病変、浸潤部、転移の確認されたリンパ節のそれぞれの部位からmicroarrayによる解析・比較を行って、MUCサブタイプのうち、MUC5ACは、発現の強度と病理学的深達度と予後不良の危険性には正の相関性があることが統計学的有意差を持って確認され、報告した(Hata H, et al.J Eur Acad Dermatol Venereol, 2014)。さらに、本研究に先駆けてEMPDの上皮内病変、浸潤部、転移の確認されたリンパ節のそれぞれの部位からDNA microarrayによる網羅的に解析・比較を行っているが、DNAの発現の差異のあるgene symbolを調べ、およそ50000種類を同定した。そのうち、正常皮膚に比べて病変部で2倍以上の増強のあるものを200種類、一方、2分の1以下の減少を示すものを7000種類有ることを確認した(未発表データ)。MUC以外のgene symbolに関しても再検討を行い、腫瘍の浸潤性や生命予後などをさらに厳密に反映する免疫組織学的マーカーの検索をした。このうちmTORの免疫染色による発現強度の検討が予後と関連していることを見出し、どうように報告した(J Eur Acad Dermatol Venereol, in press.)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のように、腫瘍の各部位から抽出した遺伝子数の増減を見たデータの再検討により、論文を一編上梓することができたが、MUC5ACの全長のcDNAを入手で来ておらず、遺伝子改変の実験において鋭意進める余地がある
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Strategy for Future Research Activity |
MUC5ACはその全長のシークエンスが明らかとなっており、遺伝子改変実験に使用可能なものをさらに検索する。検索し得た場合には上皮系腫瘍細胞の細胞株にMUC5ACを遺伝子導入し、培養系を確立しつつ、腫瘍細胞の形態学的変化やmigration assayをはじめとした実験により生物学的動態の変化を観察する。 これらの遺伝子導入が不調に終わった場合には、MUC5ACを既に発現している細胞株の検索を行う。胃癌や大腸癌ではMUC5ACが発現していることが知られており、これらの細胞株を購入し、MUC5ACを不活化させるようなSiRNAを導入した細胞を作成し、培養系を確立しつつ、腫瘍細胞の形態学的変化やmigration assayをはじめとした実験により生物学的動態の変化を観察する。
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