2015 Fiscal Year Annual Research Report
病態生理の解明に基づく新規かつ特異的なPTSD治療薬開発のための基礎的研究
Project/Area Number |
26860926
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
近藤 誠 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50633012)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | セロトニン / 5-HT受容体 / 恐怖記憶 |
Outline of Annual Research Achievements |
恐怖記憶の機序とセロトニンの関連に着目し、恐怖条件付けテストによって、5-HT3受容体欠損マウスでは、恐怖記憶の獲得や保持は正常であるが、消去が障害されていることを見出し、恐怖記憶の制御機構の中で、特に消去のプロセスに5-HT3受容体が必須の役割をしていることを明らかにした。 恐怖記憶などの記憶、情動機能は、環境や経験によって変化する。獲得された恐怖記憶も、経験に依存して記憶の増強や消去が起こる。運動などの活動経験も記憶や情動などの脳機能に影響をもたらし、従来の研究から運動は、恐怖記憶を含めた記憶学習能力の向上効果や抗うつ効果、海馬の神経新生の促進効果が報告されてきた。これらの効果にはセロトニンの関与が示唆されていたが、詳細な機序は不明であった。5-HT3受容体は海馬に発現していることが知られていたが、海馬の神経新生との関連は明らかでなく、また海馬は記憶やうつ行動との関連が知られていた。そこで5-HT3受容体欠損マウスを用いて、運動による抗うつ効果や記憶学習能力の向上効果、海馬神経新生の増加効果に、5-HT3受容体がどう関与しているのか検討を行った。BrdUを用いた海馬神経新生の組織学的解析とマウスの記憶学習行動とうつ行動の解析により、(1)5-HT3受容体は定常状態で海馬歯状回における細胞増殖や神経新生に必要ではない(2)5-HT3受容体は運動による海馬歯状回の分裂細胞や神経前駆細胞の増加および神経新生の増加に必要である(3)5-HT3受容体の活性化は海馬の神経新生を促進する(4)5-HT3受容体は運動による抗うつ効果に必要であるが、記憶学習能力の向上効果には必要でないことを見出した。 恐怖記憶の消去は、海馬の神経新生との関わりが示唆されており、海馬神経新生とセロトニンの解析を進める中で、当初の予想を超えた興味深い研究成果を得ることができた。
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Research Products
(21 results)
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[Journal Article] Authentic role of ATP signaling in micturition reflex.2016
Author(s)
Kentaro Takezawa, Makoto Kondo(†Co-first author,&*Corresponding author), Hiroshi Kiuchi, Norichika Ueda, Tetsuji Soda, Shinichiro Fukuhara, Tetsuya Takao, Yasushi Miyagawa, Akira Tsujimura, Kazumasa Matsumoto-Miyai, Yusuke Ishida, Hiromitsu Negoro, Osamu Ogawa, Norio Nonomura, Shoichi Shimada.
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 6
Pages: Article 19585
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] A novel mechanism of infection-induced bladder hyperactivity: Lipopolysaccharide causes rapid ATP release from urothelium and stimulates the mechanosensory afferent pathway2015
Author(s)
Kentaro Takezawa, Makoto Kondo, Hiroshi Kiuchi, Tetsuji Soda, Shinichiro Fukuhara, Tetsuya Takao, Yasushi Miyagawa, Akira Tsujimura, Kazumasa Matsumoto-Miyai, Shoichi Shimada and Norio Nonomura.
Organizer
American Urological Association (AUA) Annual Meeting 2015
Place of Presentation
New Orleans, LA, USA
Year and Date
2015-05-15 – 2015-05-19
Int'l Joint Research
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