2016 Fiscal Year Research-status Report
放射線治療における経皮的挿入型体内緩徐吸収性スペーサーの基礎的研究と臨床応用
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26860970
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
神宮 啓一 東北大学, 医学系研究科, 教授 (00451592)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 吸収型スペーサー |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度行った動物実験から候補となった高分子ゼラチン(RM-100HS)の中濃度溶液(1gの高分子ゼラチンを4ccの生理食塩水で溶解したもの)を使用して、この吸収性スペーサーを背部皮下へ0.3ml挿入後の7週齢のICRマウスを、挿入後Day 1, 3, 7, 21 にそれぞれ2匹ずつ安楽死して組織採取し、背部皮下挿入部の反応を病理学的に観察を病理専門医と放射線治療医で行った。ヘマトキシリン・エオジン染色とマッソン・トリクローム染色にて観察した。その結果、すべての標本にて挿入スペーサーの表面には軽度の炎症性細胞浸潤を認めた。Day 1には少数の炎症細胞浸潤が出現。Day3で炎症細胞が軽度増加。Day7で膠原線維や多核巨細胞が出現、Day21に膠原線維の増加を認めたが、正常の異物反応の範囲内であった。肉眼的に炎症所見がなかった昨年度の結果と矛盾しない結果であり、病理学的にも本物質が安全なスペーサーとなりえることが証明された。スペーサー自体もDay21まで形状を維持していることが今回も確認でき、スペーサーとしての機能を十分持ち合わせていることも再度証明できた。また昨年度ゼラチンスペーサーの安定性を見るために同様に背部皮下にゲルを挿入したマウスのDay60を確認したところスペーサーはほぼ吸収されており、マウスに目立った異常反応は認めなかった。このことからも従来目指した経皮的に挿入可能な体内吸収型のスペーサーとして十分に活用が可能であることが証明された。 この結果は第29回放射線腫瘍学会学術大会にて口頭発表を行い、国内外の専門家とディスカッションを行った。専門家達からは高い評価が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね基礎実験は予定通りに進展しているが、臨床応用に向けては、倫理指針の法律の改正や本素材を製造しているメーカーが「株式会社東日本大震災事業者再生支援機構」による債権買取りを伴う支援をうけることとなるなどで遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は臨床応用を目指して倫理申請と治験開始を目指す。また、この研究結果を国際学会にて発表予定である。
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Causes of Carryover |
概ね基礎実験は予定通りに進展しているが、臨床応用に向けては、倫理指針の法律の改正や本素材を製造しているメーカーが「株式会社東日本大震災事業者再生支援機構」による債権買取りを伴う支援をうけることとなるなどで遅れている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
学会等にて成果発表および意見交換、臨床応用にむけて共同開発費に使用予定である。
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Research Products
(7 results)